「慰安婦」に関する補助教材使用に対する抗議行動報告

 2017年6月12日、子どもたちに渡すな!危ない教科書 大阪の会と日本軍「慰安婦」問題・関西ネットワークは大阪府教育庁(以下、大阪府教委)に対して、日本軍「慰安婦」問題に関する補助教材の配布について抗議行動を行いました。

1、補助教材のこれまでの経過と抗議内容

大阪府教委は、朝日新聞が吉田証言の記事を取り消したことを契機に、2015年10月、「『慰安婦』に関する補助教材」を作成し、府立高校の生徒に対して「慰安婦」のことを授業で教える際にはこの教材を必ず使用することとしていました。

 その補助教材の内容は、朝日新聞の吉田証言の記事取り消しについての経過と、「慰安婦問題に対する日本政府の考え」(外務省HP)、そして参考資料として河野談話や、強制連行はなかったとする第一次安倍政権の閣議決定、そして安倍談話等で構成されています。日本軍「慰安婦」問題の被害実態に触れることなく、強制連行はなかったかのような印象を植え付け、政府の公式見解を一方的に押し付ける、きわめて悪質な教材です。

 そして補助教材を作成した当初は、授業で「慰安婦」のことを取り上げたときに必ず使用するとしていました。しかし4月24日の通知で府教委は、授業を行うか否かにかかわりなく「速やかに配付」することを命じたのです。この教材を用いること自体が問題であるのに、授業実践とは何のかかわりもなく一方的に配付せよとは、日本軍「慰安婦」問題への生徒の理解を一層混乱させる行為で、許すことはできません。

 この日、私たちは抗議文を手渡し、

1.一方的に配付を命ずる今通知を撤回すること

2.政府の公式見解ばかりでなく、被害者の証言や国連の勧告等もかならず教材として使用すること

の2点を要求しました。同時にあらかじめ渡していた10項目の質問に答えてもらいました。

対応したのは教育振興室高等学校課主席指導主事の植木さんと主任指導主事の香月さんです。

 府教委からは、私たちの2点の要求に対しては拒否し、そして質問に対してもほぼゼロ回答でした。

 以下は、今回の交渉での特徴的なやり取りです。最大の争点は、後段で記載します。

①今回、「速やかに配付」することとしたことについて

 教科書を配付した以上、生徒の「慰安婦」問題に対するより深い理解のために、速やかに配付することとした。ただし授業実践時に使用するというのであれば、その時に配付でも構わない。授業実践を行わない生徒に対しても配付が必要である。

 授業で必ず「慰安婦」を教えなければならないというのではない。教委としてそれは指導しない。教育実践を行うか否かは教育現場の判断である。

②教材が日本軍「慰安婦」問題への理解を妨げるのではないか?

 こちらがいくら具体的な話をしても理解されることなく平行線に終わる。府教委としては生徒の理解を深めるために今教材を作成することは職務権限上必要なことだというが、このような教材を作成したのはこれだけと認め、日本軍「慰安婦」問題に対する府教委の対応の異様さがあらわになった。

③議会からの圧力があったのではないか?

 西田議員(維新)、上島議員(維新)が議会で取り上げたことを認めるが、教材作成は府教委の判断と主張。しかし後述するやり取りの矛盾から、原因は議会の圧力であると明らかである。

2、吉田証言をとりあげる根拠は崩れた

 今回の交渉の最大のポイントは、なぜいま吉田証言を取り上げるのかということにありました。

 吉田証言が教科書の記述に影響を与えたという事実はありませんし、当然教科書に吉田証言など載っていません。吉田証言は歴史専門家の中では早くから「資料としては使えない」という見方が定着しており、日本軍「慰安婦」問題の学術的な研究は、その後、金学順さんをはじめたくさんの被害女性が名乗り出られたということと、日本軍の主体的な関与を示す史料が発見されることにより、「日本軍『慰安婦』問題は性奴隷制度である」という結果が学術的にも国際的にも定着しています。吉田証言が嘘だからといって、そこには何の影響も与えていません。

 吉田証言が教科書の記載内容に影響を与えていないということは、府教委も認めるところです。

 府教委がこの補助教材を使用しなければならない理由は、「検定基準が変わったから」というものでした。文科省は2014年1月17日、教科書で近現代史を扱う際に政府見解を明記するよう検定基準を改悪しました。現在使用されている教科書はその検定基準で検定を受けていません。だから補助教材が必要というのが、府教委の主張です。

 しかしこれはおかしな主張です。なぜならば新しい基準で検定を受けた教科書も、吉田証言など書かれていないからです。それどころか、第一次安倍政権の閣議決定も、安倍談話も、記載されていません。検定基準の変更が補助教材を用いる理由にはならないのです。

 今年度は高校の教科書検定が行われ、来年度からは新基準で検定を受けた教科書が使用されます。そして来年度以降はこの補助教材は使用しないと府教委は明言しました。もちろん来年度以降の教科書に吉田証言など記載されていません。では、なぜいまこの補助教材を使用する必要があるのか?!

 府教委は現在使用されている教科書に、間違いがあるとは言いません。では何が不足しているから補助教材を使用するのかと具体的に問うても、なにも回答は得られませんでした。

 府教委の論理は破たんしています。結局は「府議会議員の言われるとおりにした」ということでしかありません。

3、教育に対する責任を放棄した府教委を許さない

 このような補助教材を一方的に配布することにより生徒が混乱するだろうことは、だれの目にも明らかです。またこの教材で授業実践をすることが、教員にとってどれほど困難であるかも。しかし府教委は、生徒は混乱しないというし、教員も授業実践できると断言します。

 そして、補助教材を配付する以上かならず授業実践を行えと私たちは主張しましたが、教育実践を行うか否かはあくまでも教育現場が判断することとして府教委はこれを拒否しました。

 これほど無責任な態度はありません。府教委は教育に対する責任を放棄しています。

 私たちは日本軍「慰安婦」問題を教えるのであれば被害証言が必須であり、被害の事実をしっかり教えろと主張しましたが、府教委は自らの責任においてそれを行う意思はなく、あまりにも不誠実な態度に終始しました。

 このような府教委の姿勢を許すわけにはいきません。

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「慰安婦」問題学習会  いま、解決に何が必要か

=学習会のご案内=
「慰安婦」問題学習会
 いま、解決に何が必要か

日時:2017年4月15日(土) 14時-16時30分
場所:とよなか男女共同参画推進センターすてっぷ セミナー室2AB
    (阪急宝塚線豊中駅下車すぐ 阪急梅田駅より急行11分)
講師:小林久公さん
    (日本軍「慰安婦」問題解決全国行動/強制動員真相究明ネットワーク)
主催:「慰安婦」問題の解決を求める北摂ネットワーク・豊中
   日本軍「慰安婦」問題・関西ネットワーク
参加費:500円
※会場の表示は「北摂ネット・豊中」となっています。




 1990年代以降、被害者の名のり出を受けて「慰安婦」問題の解決を求める声は被害国だけでなく、国際社会にも広がりました。
27年間に及ぶ行動と努力が積み重ねられてきましたが、今だ解決を見ず、一昨年12月の「日韓合意」以降、むしろ解決への道は遠ざかっているようにさえ見えます。
 私たちは、2012年に各国被害者、支援者らとともに「日本政府への提言」をまとめ、多くの資料とともに日本政府に提出しました。
提言の柱として、「慰安婦」問題の解決には、曖昧さのない事実認定と、被害回復措置が必要との立場を明らかにしてきました。
 しかし、安倍政権は一貫して「軍や官憲による慰安婦の強制連行を直接示す文書はなかった」、したがって、強制連行や性奴隷もなかったと主張してきました。
 「河野談話」以降、様々な資料が発見され、また、外務省や防衛相、法務省など各省庁に関連資料が多数あるにもかかわらず、一切の資料収集を拒否した状態にあります。
 まさに事実の隠ぺいが公然と行われています。
 小林さんはこの間、とりわけそうした資料の収集に力を注いできました。2005年には『日本軍「慰安婦」関係資料21選』を中心になってまとめたほか、以降も各省庁に対して情報公開を求めて粘り強い交渉を重ねる中で、日本軍が組織的・体系的に実施したことを示す多くの資料を発見、収集してきました。
 今回、そうした実践と研究を踏まえて、「慰安婦」問題のあるべき解決についてお話を聴きます。
 北海道から来られます。貴重な機会です。ぜひご参加ください。

4月5日の大阪駅前水曜集会にご参加ください

3月10日、朴槿恵大統領が弾劾、罷免されました。崔順実ゲート事件、セウォル号事件と並び、日韓合意が今日に至る韓国市民の怒りに火をつけたことは間違いありません。まさに韓国の民主主義の勝利です。

しかしこの局面に至っても日本政府は韓国政府に対して「政権が変わっても日韓合意を履行すべき」と主張しています。被害者も韓国社会も受け入れを拒否しているにも関わらず、罷免された政権と交わされたなんの法的根拠もない口約束の履行をあとの政権にまで迫るのは、恥知らずとしか言いようがありません。

そしてそれに同調する日本社会。

教育勅語を諳んじ、安倍首相を礼賛する森友学園が問題になっていますが、森友学園とは「強制連行はなかった」「『慰安婦』は売春婦」などとセカンドレイプを繰りひろげる日本会議が作ろうとしたら学校です。もちろん安倍の意向も受けて。

「天皇陛下を奉る」教育と、「『慰安婦』を否定する」教育は同義です。日本軍「慰安婦」問題の責任は、旧日本軍と日本政府、そして日本軍を統帥する天皇にあるのは明らかであり、日本軍の戦争責任を無罪化するのは天皇制護持のためだからです。そして日本を再び侵略戦争への道へと突き進ませるためです。

今こそチャンスです。私たち市民の力で安倍政権を追い詰めましょう。日韓合意を破棄させ、私たちの誠意を日本軍「慰安婦」被害者に示しましょう。

日韓合意の片方の主犯・朴槿恵を、韓国社会は追い落としました。次は私たちがもう一人の主犯・ファシスト安倍晋三を追い落とす番です!

みなさん、4月5日水曜日、大阪梅田ヨドバシカメラ前に結集してください。

大阪市長への抗議文提出行動と、サンフランシスコ市長の大阪市長に対する返答書簡(全訳)

 サンフランシスコの「慰安婦」記念碑設置に関する件で、姉妹都市である大阪の吉村市長がサンフランシスコ市長あてに公開書簡を送っていたことに関して、関西ネットは本日大阪市役所を訪れ、抗議文を手渡しました。

 前任の橋下市長は過去3回も書簡を送って碑の設置を妨害し、吉村市長も同様にサンフランシスコ市に圧力をかけました。

 しかし、これに対するサンフランシスコ市長の返答は、吉村市長の抗議をきっぱりと否定するものでした。

 ぜひともお読みください。

2017年2月3日

吉村市長殿

サンフランシスコ市の「慰安婦」記念碑に関して、あなたの懸念を表明したこのような心のこもったお手紙をかく時間をおとりくださりありがとうございます。昨年8月の私たちの面談に関しまして、私もよい思い出として記憶しておりますし、私たちの二つの偉大な市の間で実りある積極的な姉妹都市関係を続けていくことを、私はなににもまして望んでおります。

ご存知のように、「慰安婦」記念碑は戦争時の犯罪に関する賠償と正義を実現するために人生の幾年もの歳月を捧げている、当地の活動家たちがつくっている連盟が先頭になっておこなってきた、民間で資金がまかなわれているプロジェクトです。 これらの人たちの要望は、先例のないものではありませんでした。 サンフランシスコ市は歴史上もっとも暗黒ないくつかのときを記念し、平和と和解をよびかける公的および民間による記念碑をいくつも持っております。

私は日本がこれらの過去の行為に対する償いをするためにおこなってきている努力を認め、敬意を持っておりますが、歴史はしばしば大変パーソナルなものであります。「慰安婦」正義連盟’のメンバーたちは、彫刻の記念碑をとおして被害者たちを尊ぶことが、かれらの義務だと感じております。 私はメンバーの人たちがよき意図をもっていることを信じておりますし、それはサンフランシスコ市と大阪市との関係を乱すことではないと信じております。

当地のコミュ二ティーによる行動の呼びかけに応え、独立した選挙によって選ばれた私たちの市・郡議会の議員たちは、「慰安婦」正義連盟の大義に賛成する、サンフランシスコ市に記念碑を設置する決議案を全員一致で採択いたしました。碑文の文言は、その一部が採択された決議文から引用されたものですし、あなたはその決議文を以前にごらんになっているものと私たちは信じております。

サンフランシスコ市美術委員会の委員たちは、記念碑が成功裏に実現されることを監督する責任をもっており、記念碑の文言に関して、パブリックの証言を真剣にききました。 あなたが私あての書簡で言及されたように、碑文の内容は公聴会でパブリック・コメントを考慮して、すこし修正がおこなわれました。そして最後に、委員たちはそのテキスト(碑文の内容)は事実にもとずいたものであり、記念碑のまことの目的を伝えていると感じました。 その目的とは、被害者の女性たちを尊敬し、この地球上のすべての国に影響を与えている問題であるところの人身売買の問題に関して、一般社会を教育することにあります。

選挙で選ばれた公務員である市長として、コミュ二ティーに応えることは私の義務であります。たとえそのことが批判に直面したとしてもです。 私は私たちがより深い理解と相互の尊敬をもち、姉妹都市として60周年にはいっていくことを心から望んでおります。そして、多くの市民をしっかりと支え、それぞれの市民を豊かにし市民に利益をもたらす姉妹都市間のパートナー・シップを築いていくために、民衆と民衆の間のたくさんの交流への強力な支援を継続していくことを心より希望しております。私たちの'偉大な市を強め、利益をもたらし、世界の国々が競い合うお手本として私たちの市を高める将来の努力に目をむけることを希望しております。

敬具

サンフランシスコ市・郡長 エドウィン・リー

1月4日の大阪駅前水曜行動にご参加ください

 昨年の12月28日で、あの犯罪的な日韓「合意」から一年が経ちました。
安倍首相はこれまで加害の事実(日本政府の関与)を認めず、謝罪もせず(朴槿恵大統領に電話で伝えたからそれ以上謝罪する必要はない)、韓国政府に対して10億円と引き換えに少女像の撤去を執拗に迫っています。
韓国ではこの一年、多くの市民が「合意」を屈辱的と捉え、朴槿恵政権にその破棄を求めてきました。その熱い思いは、政権を崩壊させる一因になりました。そして朴槿恵政権の崩壊が「合意」を揺るがせかねないと見るや、あろうことか安倍政権は「『合意』の破棄は受け入れられない」と露骨な予防線を張っています。
この「合意」を被害者は受け入れていません。そして韓国の市民も拒絶しています。国連女性差別撤廃委員会でもこの「合意」に対して、被害者の「真実、正義、償いを求める権利」を保障し、彼女らの立場に寄り添った解決を目指すよう日本政府に勧告しています。喜んでいるのは安倍政権と朴槿恵政権、オバマ政権だけで、被害当事者も世界中の人々もこのような「合意」は望んでいません。
今こそ日本の市民も「過去の加害に真摯に向きあえ」と大きく声を上げ、安倍政権に被害事実の認定と真摯な謝罪と補償を迫るべきです。
今年最初の大阪駅前水曜行動は、日本軍「慰安婦」問題をめぐる情勢や沖縄辺野古・高江の闘いの報告などのほか、Swing MASAさんの寒さを吹き飛ばすサックス演奏も予定しています。
みなさん、ぜひ1月4日19時に大阪梅田ヨドバシカメラ前にお集まりいただき、私たちも韓国の市民に負けないように「合意NO!」の声をあげましょう。
日時:2017年1月4日(水) 午後7時~
場所:大阪梅田ヨドバシカメラ前
主催:日本軍「慰安婦」問題・関西ネットワーク
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大阪府教委「副教材」を補完するために作成した教材

 日本軍「慰安婦」問題・関西ネットワークと子どもたちに渡すな!あぶない教科書大阪の会は、1月22日、大阪府立高校あてに、以下のお手紙と、私たちが作成した「副教材」を送付しました。
 この「副教材」は、被害事実を一切記載することなく、政府見解を掲載する事に終始した大阪府教委の副教材を補完するために作成したものです。内容も必要最小限に留め、A4サイズ4枚にまとめました。
 批判に堪えられるよう、主観を避け、誰にも否定できない事実のみを掲載するよう努めました。
 みなさまもぜひご利用下さい。(だい)

(副教材ダウンロード)http://www.ianfu-kansai-net.org/kyozai.pdf
「慰安婦」に関する補助教材を補助する教材_2





大阪府立高等学校
社会科ご担当者 様
人権教育ご担当者 様
 
前略。

 昨年10月28日、大阪府教育委員会は「『慰安婦』に関する補助教材」を作成し、各高校に配布され、使用と報告を義務づけられていることは、すでにご存じのことと思います。
 この補助教材は、とても「『慰安婦』に関する補助教材」と呼べるものではありません。政府の見解は押しつけるけれども、日本軍「慰安婦」被害者の被害事実は全く教えないという、とても許し難いものです。
 このことに危機感を持った私たち、日本軍「慰安婦」問題の解決を求める市民団体と育鵬社教科書採択に反対する市民団体の2者は、大阪府教委に対して、11月10日に抗議文および公開質問状を提出し、12月1日に交渉を持ちました。その交渉の中でも、政府見解ばかりでなく被害事実をキチンと載せるよう要求しましたが、府教委は被害者の証言などが有効な教材であるということは認めるものの、補助教材の内容変更は頑として認めませんでした。
 12月29日に日韓政府で妥結されたという情勢の変化も踏まえ、私たちは引き続き府教委に対して要求を続けていきますが、それはそれとして現実にこのような教材が使用されることを私たちは危惧しています。
 そこで私たちは、授業でも使えるように、被害事実を中心に、府教委作成の補助教材を補助するための教材を作成しました。批判に耐えられるよう、被害証言については裁判所で認定されたものを使用しています。また、現場教員が補助教材に加えて被害証言などを用いて授業を行うことができるということを、12月1日の府教委交渉でも確認しています。
 ぜひともこの教材を用いて、日本軍「慰安婦」問題を正しく教えていただきますようお願いいたします。

 教材は2枚を同封しているほか、次のアドレスからPDFファイルをダウンロードできます。
http://www.ianfu-kansai-net.org/kyozai.pdf

 趣旨が変わらない限り、授業で使いやすいように加工していただいても構いません。また内容に対する要望や教材となる映像の紹介、講師の派遣等の要望があれば、可能な限り対応いたします。
 私たちの抗議文及び公開質問状と、府教委からの回答書等については、ブログ等をご覧下さい。

 未来の世代に日本軍「慰安婦」問題を、事実を基礎にしっかりと考えてもらい、正しく理解してもらうための授業を、どうぞお願いいたします。

 2016年1月

日本軍「慰安婦」問題・関西ネットワーク
HP:www.ianfu-kansai-net.org/blog:ianfukansai.blog.fc2.com
子どもたちに渡すな!あぶない教科書 大阪の会
blog:http://kyoukashoosaka.blog39.fc2.com/
(この教材に関する連絡先)日本軍「慰安婦」問題・関西ネットワーク
Email:info@ianfu-kansai-net.org

日韓政府間「合意」抗議声明への賛同要請

日本軍「慰安婦」問題解決全国行動は1月18日付で、「慰安婦」問題に関する日韓政府間「合意」に抗議する声明を発表し、1月31日締め切りで個人・団体賛同を募っています。そもそも2月5日に政府に提出予定であった「要請書」への賛同募集を打ち切り、今回の事態に対する抗議声明への賛同募集に切り替えたものです。
これを、2月5日、政府に提出し、外務省前で抗議行動、その後衆議院第1議員会館で院内集会を開きます。
〇賛同締め切り:2016年1月31日
〇提出:2016年2月5日。(提出後、院内集会を開催)
〇賛同団体名のみ、HPに掲載します。
※賛同署名はこちらの署名フォームからお願いします。


抗議声明

被害者不在の日韓「合意」は解決ではない
~「提言」の実現を求める~

政府と政府同士話し合ったことをおばあさんたちに一言の相談もせずに自分たちで妥結したということは、一体何の理由で妥結したというのか、どう考えても納得がいかない。お互い平和のために(解決)するのであれば、このように気に障るようにするのではなく、ちゃんとして欲しい。〔金福童(キム・ボットン)ハルモニ〕
「『慰安婦』ハルモニたちのために」という考えがないようだ。天国に逝かれたハルモニたちに対し、面目がない。金で解決しようとするのであれば受け取らない。日本が真に罪を認定し、法的な賠償と公式の謝罪をさせるために、私は最後まで闘います。〔李容洙(イ・ヨンス)ハルモニ〕
これがどれだけ不当かわかりますか。今後、私たちの声を聞く耳を持ってほしい。〔李玉善(イ・オクソン)ハルモニ〕
2015年12月28日、日本と韓国の政府は日本軍「慰安婦」問題の「妥結」をめざして外相会談を行い、「最終的かつ不可逆的に解決されることを確認」と発表しました。直後から、韓国の「慰安婦」被害者たちは怒りの声をあげました。解決を一番待ち望んでいる被害者たちが、「このようなことで終止符は打てない」と繰り返し訴えているのです。
加害国の市民である私たちも、心より日本軍「慰安婦」問題の解決を願っています。しかし、「今回のような被害者不在では解決できない」「この『合意』では解決できない」と考えます。
2014年6月、8ヵ国から被害者と支援者が参加した第12回日本軍「慰安婦」問題解決のためのアジア連帯会議で採択された「日本政府への提言」は、被害者たちが求めてきた「法的解決」の中身を解き明かしたものです。「提言」では、この問題の解決とは、日本政府が加害の事実と責任を認め、謝罪・賠償・真相究明・再発防止の措置を取るということが被害当事者に示された時、初めて「その第一歩を踏み出すことができる」と明らかにしており、その実現を求め、すでに日本政府に届けています。
私たちは、次の理由で、「日韓『合意』は解決ではない」と考えます。従って、日本政府に、「今回の『合意』で、この問題に『終止符』を打つことはできない。『提言』の実現こそが解決への道すじである」と強く訴え、「提言」の実現を求めます。
1.「合意」は、被害者を無視した。
日本軍「慰安婦」問題は、1990年代の初めから、被害者一人ひとりが苦しみの中から名乗り出て、長年、尊厳を取り戻すために闘い、被害者自らが明らかにしてきた問題です。被害者たちの当然の権利と、四半世紀もの間求めてきた要求を、政府間で勝手に「終止符を打つ」ことは断じて許されません。
会談後、岸田外相は「日米韓の安全保障協力も前進する素地ができた」と述べています。本来なら被害者のために行われるべきことが、日本政府にとっては昨年の「戦争法」強行制定の延長線上に位置づけられて行われたのです。
2.「合意」は、アジア連帯会議の「日本政府への提言」を踏みにじった。
「日本政府への提言」は、まず、「①日本政府および軍が軍の施設として「慰安所」を立案・設置し管理・統制したこと。②女性たちが本人たちの意に反して、「慰安婦・性奴隷」にされ、「慰安所」等において強制的な状況の下におかれたこと。③日本軍の性暴力に遭った植民地、占領地、日本の女性たちの被害にはそれぞれに異なる態様があり、かつ被害が甚大であったこと、そして現在もその被害が続いているということ。④当時の様々な国内法・国際法に違反する重大な人権侵害であったこと」を歴史的な事実として認めたうえで、国の責任を認めるよう、日本政府に求めています。
しかし、今回の「合意」は、これらの事実に何一つ言及していません。正確な事実認定という前提のない「責任」言及は、被害者が求めてきた法的責任を認めたことにはなり得ません。
また、被害者たちは「二度とこのようなことが繰り返されないように」と強く求めていますが、「合意」は、「提言」が求めている真相究明や再発防止の措置にも触れていません。
これでは、生存している被害者たちのみならず、無念のうちに亡くなっていった被害者たちの名誉回復もできないどころか、再び傷を深くえぐる行為であり、あまりに不誠実な態度です。
3.「合意」は、日本政府が取るべき責任を韓国政府になすりつけた。
日本政府は、10億円を拠出して「元慰安婦の方々の心の傷を癒やす措置を講じる」としていますが、具体的な財団の設立と運営は、韓国政府に押しつけました。さらに、ソウルの日本大使館前の「平和の碑(少女像の正式名称)」は、「関連団体との協議」を通じた「適切な解決」を、韓国政府に約束させました。この碑は、この問題の解決を求めて被害者や支援者たちが行っている水曜デモ1000回を記念して建てられたもので、日本政府が口出しするのは見当違いです。本来加害国が果たすべき責任を被害国になすりつけて、今や問題解決の鍵を握るのは韓国政府であるかのような構図を、日本政府は作り出しています。
また、日本政府の立場は、10億円は「賠償金ではない」「法的責任は、日韓請求権協定で解決済みということに変わりはない」と明言しているように、「合意」前と何ら変わっていません。
このような日本政府の態度は、日本の市民をも辱めるものです。
4.加害国が被害国に「最終的かつ不可逆的解決」を押しつけた「合意」は、それゆえなおさら「最終的解決」とはなり得ない。
想像を超えるほどの甚大な人権侵害に遭って、生涯を苦しみの中で生きてきた被害者の心を癒す道のりは、当然のことながら、決してたやすいものではありません。被害者が納得するまで、加害者は謝罪の姿勢を持ち続け、必要な取組みを行うことが求められます。そうして初めて、加害者は罪の自覚を深め、二度と犯さないことを自分のものにすることができます。
安倍首相も、昨年8月に出した談話で、「それでもなお、私たち日本人は、世代を超えて、過去の歴史に真正面から向き合わなければなりません」と述べています。にもかかわらず、今回、日韓の政府間で勝手に「最終的かつ不可逆的解決」を宣言しました。このことは重大な過ちであると言えます。しかも、加害国は、そのことを被害国に押し付ける立場にはありません。今回の「合意」は、それゆえなおさら「最終的解決」とはなり得ず、加害国の傲慢で、誤った姿勢を再び浮き彫りにするものでしかありません。
日本軍「慰安婦」被害者は、韓国だけでなく、日本・朝鮮民主主義人民共和国・台湾・中国・フィリピン・インドネシア等のアジア・太平洋の広い地域の国々やオランダにもいます。名乗り出ることができないまま亡くなった被害者も、一体どれほどの人数に達するでしょうか。
今回の日韓政府の「合意」は解決ではありません。日本政府における解決とは、「提言」を実現することです。加害国が本来果たすべき責任を果たして解決するよう、私たちは強く要求します。

2016年1月18日
日本軍「慰安婦」問題解決全国行動

吉見義明さんの裁判の判決を前に公正な判決を求める国際署名

みなさま 

1月20日、吉見義明さんの裁判の判決を前に公正な判決を求める国際署名がスタートしました。

ぜひとも、多くのみなさんのご協力をよろしくお願いします

 (ぱん)



【転送歓迎】

裁判所に公正な判決を求める署名にご協力ください。

 

中央大学の吉見義明さんが、日本維新の会(当時)の桜内文城衆議院議員(当時)を名誉毀損で訴えた裁判が、2016年1月20日、ついに判決を迎えようとしています。

吉見さんは、日本軍「慰安婦」問題の第一人者として、日本のみならず、世界的に信頼されている研究者です。そのような人の著書を「ねつ造」と、外国特派員協会の記者会見の場で発言した桜内氏は、著しく吉見さんの名誉を傷つけたにもかかわらず、発言を撤回するどころか、法廷でもさらなる名誉毀損ととれる発言を繰り返しました。さらに、被告側は、「慰安婦=性奴隷説はねつ造」であり、吉見さんが著書のなかで「慰安婦は性奴隷であると断定している部分はねつ造である」とも主張し始めました。

日本軍「慰安婦」は性奴隷制度ではなかったとする主張は、日本の国家・軍隊が過去におこなった支配や暴力、その歴史から目を背けるもので、被害者をさらに傷つけるものです。

この裁判で勝訴を勝ち取ることができなければ、吉見さんの名誉回復ができないだけでなく、被告側の主張により再び傷つけられた被害女性たちの名誉も回復することができません。

どうぞ、裁判所に公正な、そして歴史と世界に恥じない判決を出すよう求める国際署名にご協力ください。

 

*こちらから署名できます。

http://www.yoisshon.net/2015/12/blog-post.html

 


 

裁判所に公正な判決を求める国際署名

東京地方裁判所 民事第33部 合議1E係 御中

中央大学の吉見義明さんが日本維新の会(当時)の桜内文城衆議院議員(当時)を名誉毀損で訴えた裁判(平成25年(ワ)第19679号 損害賠償等請求事件)が、2016年1月20日に判決を迎えるに当たり、私たち日本の市民、そして世界の市民は、裁判所が公正かつ正義の判決をだされますよう切に訴えます。 

原告吉見義明さんは、丹念な資料調査と証言の聞き取り等により日本軍「慰安婦」問題の実態解明に誰よりも大きく貢献し、被害者に希望の光を与え、世界に日本の良心を示してきました。ところが被告はこの原告の著書を「捏造」であると発言し、さらに本法廷では、原告が「慰安婦は性奴隷であると断定している部分は捏造である」とも述べています。

研究者の研究業績を捏造であると公言し、さらにその業績の結論とも言うべき命題を捏造であると指摘する行為は、研究者に対する重大な名誉毀損であるだけでなく、研究者の社会的存在そのものを否定する暴挙です。

「慰安婦」問題の研究者として国際的にも高名な原告の、まさにその業績を「捏造」と断定した被告について、日本の司法がどのような判断を下すか、世界中の市民も注目しています。

裁判所におかれましては、歴史と世界に恥じない判決を出されますよう心から要望いたします。

【大阪府教委】「慰安婦」に関する補助教材に係る公開質問状に対する回答について

大阪府教育委員会が作成した「『慰安婦』に関する補助教材」に対して、私たちは11月10日に「抗議文および公開質問状」を提出しました。
またこの件で、12月1日に府教委交渉をおこなったところです。
そして12月9日、私たちの質問状に対し、大阪府教委は正式に文書で回答をしました。
この内容は読んでいただいて分かるとおり、私たちの質問には一切答えていません。
このような回答で納得できるはずもありませんが、大阪府教委は前回で交渉は終わりであるという態度です。

みなさま、ぜひとも大阪府教委の回答をお読みください。
そして怒りをともにしてください。
(だい)



平成27 年12 月9日
日本軍「慰安婦」問題・関西ネットワーク
子どもたちに渡すな!あぶない教科書大阪の会 様

高等学校課長
「慰安婦」に関する補助教材に係る公開質問状に対する回答について
(質問)
1 補助教材として日本軍「慰安婦」被害者の証言、少なくとも日本の裁判所にて認定された被害事実を掲載するべきと考えます。[資料①]これに対する貴職の考えを教えてください。
2 日本政府の主張ばかりを載せるのではなく、国連の勧告、アメリカ・EU議会の決議等、国際社会から日本政府に対して要求されている声を掲載するべきと考えます。[資料②]これに対する貴職の考えを教えてください。
【質問1,2に対する回答】
本補助教材の作成にあたっては、平成26 年1月に改正された国の高等学校教科用図書検定基準や、平成27 年3月4日付の「学校における補助教材の適正な取扱いについて(通知)」の内容を踏まえました。新しい国の検定基準では、「政府の統一的な見解や最高裁の判例がある場合には、それに基づいた記述をする」旨が示されていることから、この補助教材についても、政府見解等を活用することとしました。

(質問)
3 大阪府教育委員会として、日本軍「慰安婦」被害者の強制連行はなかったと考えているのでしょうか。なかったと考えているのであれば、[資料①]も参考にした上で、その根拠を教えてください。あったと考えているのであれば、なぜその事実を教材に掲載しないのか教えてください。
【質問3に対する回答】
府教育委員会は、生徒に客観的かつ公正な資料に基づいて歴史の事実に関する理解を進めることが大切であると考えています。また、指導に当たっては、多面的・多角的に考察し、公正に判断する能力をはぐくむため、史実の認識や評価に慎重を期する必要があります。それゆえに、補助教材には、朝日新聞の記事取り消しという明白な事実と、種々の政府見解を取り上げることにしました。

(質問)
4 吉田証言が否定されたことを今、副教材として取り上げるのは、吉田証言が教育現場で教えられていると判断されたからでしょうか。そうであれば、吉田証言を教育現場で教えている事実を調査しましたか?そうでなければ、教育現場で教えられていない吉田証言を副教材に掲載する意図を教えてください。
【質問4に対する回答】
吉田証言について教育現場で教えている事実があるかどうか調査していませんが、取り消された記事の内容に依拠した資料や情報を活用した指導が行われている場合は訂正する必要があるため、今年2月に府教育委員会は、「取り消された記事の内容に依拠した資料や情報を活用した指導が行われている場合は訂正するよう」府立学校校長・准校長あて通知をしました。今回は、その通知文に引き続いて、生徒が慰安婦問題についての理解を深めることができるよう、補助教材を作成したものです。

(質問)
5 この教材を作成するに当たり、学識経験者の意見を求めましたか。もし学識経験者の意見を求めたのであれば、それが誰なのか教えてください。もし意見を求めなかったのであれば、それはなぜなのか教えてください。
【質問5に対する回答】
本教材の作成に当たり、学識経験者の意見は求めていません。
質問3に対する回答のとおり、府教育委員会は、生徒に客観的かつ公正な資料に基づいて歴史の事実に関する理解を進めることが大切であると考えています。また、指導に当たっては、多面的・多角的に考察し、公正に判断する能力をはぐくむため、史実の認識や評価に慎重を期する必要があります。それゆえに、補助教材には、朝日新聞の記事取り消しという明白な事実と、種々の政府見解を取り上げることにしました。

「慰安婦」教材に関する大阪府教委交渉報告

2015年12月1日 「慰安婦」教材に関する大阪府教委交渉報告
大阪府教委は日本軍「慰安婦」被害者の被害事実を教えろ!


 2015年12月1日、「子どもたちに渡すな!あぶない教科書大阪の会」と「日本軍『慰安婦』問題・関西ネットワーク」とによる、「慰安婦」補助教材に関する大阪府教育委員会との交渉が行われました。府教委からは2名が対応、こちらからは両団体の他、「日の丸・君が代」不起立処分に反対する教職員・市民など約20人が参加しました。
 まず府教委側より、補助教材に至る経過説明がありました。
 朝日新聞の「吉田証言取り消し」を受けて、2014年の9月議会で維新の会の西田議員より「吉田証言が虚偽だったので、教科書の記述根拠がなくなった」と学校現場での教育の是正を求める質問をし、松井知事が「誤報を認めた限り強制の証拠がなくなった。間違った教科書で知識を得るのはマイナスなので、補完するための教材を配布する」と答えたことが、今回の発端です。
 これに対して府教委として対応策を協議し、補助教材を配布するのではなく、2月20付で通知「学校における適正な指導及び教材の適正な取扱について」を出し、学校現場で吉田証言に依拠するような授業をしているような場合には是正するよう通知を出しました。
 するとまたしても2月議会でこのことが取り上げられ、知事は「補助教材はしっかり出すようにする、総理談話も注視しながら」と答弁しました。
 そして府教委は安倍談話の発出を待ち、今回の教材作成に至ったわけです。


1,なぜ政府の見解しか教えないのか?

 なぜこの補助教材には政府の見解しか載せていないのか? 私たちがこのことを追求すると、府教委は以下のように答えました。
 2014年1月に改正された教科書検定基準では、「政府の統一的な見解や最高裁の判例がある場合には、それに基づいた記述をする」とある。そして編集に当たって、「客観的かつ公正な資料に基づいて、歴史の事実に関する理解を深めることが大切」であり、指導に当たって「多面的・多角的に考察し、公正に判断する能力を育むため史実の認識や評価に慎重を期する必要がある」ために、朝日新聞の「吉田証言の取り消し」という明白な事実と、種々の政府見解を取り上げることにした、と。
 私たちから見れば、この説明にはかなり無理があります。府教委は「多面的・多角的」と言いますが、今回の補助教材は国の見解を羅列しただけの一方的な教材にしか見えません。
 そして教材を普通に読めば、「慰安婦」問題はなかったとしか判断できません。朝日新聞の「吉田証言取り消し」があって、第1次安倍内閣の「強制連行の証拠はなかった閣議決定」があって……、しかしそういう指摘にしたいして、府教委は「でも河野談話も載せています」「安倍政権は河野談話を否定していない」と反論します。そして政府見解の中にも様々な見解があり、それが「多面的・多角的」であると主張するのです。最初は何を言っているのか分かりにくかったのですが、政府見解の変遷、つまり安倍政権が日本軍「慰安婦」問題を否定しようと企てたにもかかわらず、それをなしえず未だ河野談話を継承せざるを得ないことを学ぶことで、「多面的・多角的」な学習ができると考えているようなのです。

 しかし政府見解の羅列だけで高校生がそれを読み取るのは、相当に難しいと判断せざるをえません。そしてもし読み取る能力があったとしても「安倍政権はブレているな」と感じる程度で、その根本の問題、つまり日本軍「慰安婦」問題とはなんであるのかを学ぶことは、この教材からは不可能です。これは「『慰安婦』に関する日本政府の見解の変遷に関する補助教材」であったとしても、表題通りの「『慰安婦』に関する補助教材」ではありえません。


2,日本軍「慰安婦」被害者の被害体験を補助教材に記述せよ!

 日本軍「慰安婦」問題を学ぶための教材であるならば、被害者の証言――「慰安婦」にさせられた女性がどのような辛い体験をしたのかという被害事実を載せなければ、意味がありません。補助教材には被害者の証言を載せるべきだと私たちは強く主張し、そしてこのことが交渉の最大の焦点となりました。
 私たちは「証言こそが日本軍『慰安婦』問題を学ぶための必要不可欠な教材である」と主張し、「それは認めますよね」と追求すると、「証言は有効な教材である」と認めました。また現場教員が補助教材に追加して証言などを用いて授業を行うことも、否定しませんでした。
 しかし、補助教材に被害事実を追加記載すること、あるいは被害事実を含めた追加教材を作成することについては否定し、認めようとしませんでした。その可能性を検討することさえ否定しました。「それはなぜですか?」「断る理由はないでしょう」といくら問うても、何も答えようとしません。
 その材料、維新の会も否定しようのない被害事実を、こちらで用意しますよと提案しているにもかかわらず。

 被害事実を教えずに、本当に「多面的・多角的」で「客観的かつ公正」な学習が可能なのでしょうか? 府教委はそれが可能と言い張ります。なので私たちは問いました。
 「政府答弁はすべて真実なのか?」
 「真実ですよね」
 しかし現実には、11月10付の「抗議文および公開質問状」にも資料として添付しましたが、安倍政権の見解は国際的な批判を浴びています。2014年の国連自由権規約委員会の最終所見では「委員会は、締約国(日本)が、慰安所のこれらの女性たちの『募集、移送及び管理』は、軍又は軍のために行動した者たちにより、脅迫や強圧によって総じて本人たちの意に反して行われた事例が数多くあったとしているにもかかわらず、『慰安婦』は戦時中日本軍によって『強制的に連行』されたのではなかったとする締約国の矛盾する立場を懸念する」と、明確に批判されています。
 「多面的・多角的」とは、日本政府の主張と国際世論の対立の双方を学んで初めて学ぶことができるのであって、日本政府の見解を追いかけているだけでは絶対に学ぶことはできません。
 また安倍政権は現在、日本軍「慰安婦」問題の強制連行があったと認めようとはしませんが、「政府見解が絶対的に正しいのならば、強制連行はなかったと判断しているのか?」と問いました。
 その返答は、「強制連行があったかなかったかは事実として明確になっていない」です。
 大阪府教委は誤った理解をしています。強制連行があったことは、明確な事実です。これも府教委には事前に資料を渡していたのですが、中国人「慰安婦」裁判、あるいはオランダ人「慰安婦」裁判で、どう見ても強制連行としか判断できない被害が、裁判所で事実認定されています。
 いみじくも府教委の浅い理解が示したように、政府見解だけでは「多面的・多角的」で「客観的かつ公正」な理解など、できるはずがないのです。
 だから、まず、被害事実から学ぶことが必要なのです。証言が必要なのです。

 なぜ、補助教材に被害事実を追加記載すること、あるいは被害事実を含めた追加教材を作成することを、府教委は受け入れないのでしょうか?


3,吉田証言はなんの影響も与えていないのに?!

 松井知事が補助教材の作成を答弁した9月議会の後、府教委は対応を検討した結果、補助教材の作成ではなく、教育現場に「吉田証言を根拠に授業しないように」という指示で終わらせようとしました。しかし2月議会でまたしても蒸し返され、今回のような補助教材が作られる結果となりました。
 驚かされたのは、吉田証言が現在の教科書の記述に何らかの影響をあたえるものではないということを、府教委も交渉の最初から認め、しかも松井知事が補助教材を口にした当初から府教委は「教科書の記述を返るものではない」と認識していたということでした。
 吉田証言は1993年~1994年には「史料として使えない」と判断されており、現在の歴史学に何の影響も与えていません。それは学問の世界では常識であり、朝日新聞が吉田証言を取り消したからといって、高校の歴史教科書の記述に全く影響を与えるものでないことは、当然です。しかし、そういう正しい認識をしておきながらこのような教材と作るということであれば、重大さは全く異なります。
 教科書の記述に影響を与えないのであれば、なぜ今、朝日新聞の「吉田証言取り消し」を補助教材で教える必要があるのでしょうか? これは「多面的・多角的」とか言えるレベルではなく、高校生たちにとっては無用の混乱です。学校現場で最初から教えられていないものを、しかも日本軍「慰安婦」被害者の被害実態を教えられることなく、「吉田証言取り消し」を持ち込むのですから。こんなものはもはや歴史の教育ではありません。

 私たちは質問状で、「吉田証言を教育現場で教えている事実を調査しましたか?」と質問していましたが、回答は「調査はしていない」ということでした。調査することを思いつきもしなかったようです。
 維新の西田議員が「吉田証言が虚偽だったので、教科書の記述根拠がなくなった」と吠えたとき、もし府教委に抵抗する気があれば、「現場で吉田証言を根拠とする授業はなされていない」ということを確認するはずです。だって、現場で吉田証言に基づく授業なんてなされているわけがありません。済州島で日本軍「慰安婦」の強制連行があったなんて、誰が教えるでしょうか? それでなくとも、被害者がこれだけ名乗り出ているというのに、吉田証言を取り上げる意味がありません。授業で使われていないのであれば、このような教材を作成する理由もなくなります。
 ましてや府教委は最初から、吉田証言は教科書の記述に何ら影響を与えていないと知っていたのですから。
 ならばなぜ調査しなかったのか? 調査する必要を思いつきもしなかったのか?

 これから先は推測ですが、だれもが思っていることです。
 この問題は学術論争ではなく、「政治」だから。大阪府教委は維新の政治的圧力に対して徹底的に抵抗する気はなく、最初から膝を折っていたのです。
 それでも、府教委のことを好意的に判断するならば、維新の補助教材に対する圧力に対して2月20付通知「学校における適正な指導及び教材の適正な取扱について」で対応したことは、それなりに抵抗した結果なのだとは思います。そしてそれでも教材を作らなければならないことを迫られたとき、「強制連行はなかった」「『慰安婦』問題は虚偽である」という維新の意向を排し、「慰安婦」問題を否定しきれなかった安倍政権のブレを掲載したことは、府教委なりの抵抗だったのかも知れません。
 しかしそれは、残念ながら府教委の自己満足でしかありません。
 府教委は結局、教育ではなく、政治を選択したのです。
 教育行政が責任を持たなければならないのは、子どもたちの教育に対してだけです。子どもたちの教育に対してだけ誠実でなければならず、他のベクトルは一切不要です。教育行政に政治介入を許すなど、教育の「死」です。
 このような教材を押しつけられ、日本軍「慰安婦」問題のなんたるかを一切教えられない高校生たちは、不幸としかいいようがありません。

 府教委は、今回で交渉を終わらせようとしています。今回で十分に誠実に対応したと。
 しかし府教委は私たちの質問に、何も答えていません。
 なぜ、補助教材に被害事実を載せることができないのか? なぜ日本軍「慰安婦」問題のなんたるかを教えることができないのか?
 それが政治だからとか、維新の圧力に火を注ぐとか、そんな理由は納得できません。

 大阪府教委は、今一度、「教育とはなにであるのか?」と自問して欲しいと、切に願います。教育行政に誇りを持ち、生徒に対してだけ責任を持って欲しいです。
 私たちは何度でも大阪府教委に交渉を申し入れます。何度でも何度でも、日本軍「慰安婦」被害者の証言を、被害事実を突きつけます。そして正しい歴史認識に基づく日本軍「慰安婦」問題の教育を追求します。
 日本軍「慰安婦」被害者のために! そして未来を担う高校生たちのために! (だい)

プロフィール

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Author:日本軍「慰安婦」問題・関西ネットワーク
わたしたちは日本軍「慰安婦」問題解決のため、関西を中心に活動しています。

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