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【日本軍「慰安婦」問題解決全国行動 声明】 被害者不在の「妥結」は「解決」ではない

声明
被害者不在の「妥結」は「解決」ではない

 12月28日、日韓外相は日本軍「慰安婦」問題について会談し、共同記者会見を開いた。その内容についての評価は、本来、被害者がどう受け止めたかによって判断されるべきであるが、私たちは昨年来、政府に、各国の被害者と支援者が集まった「アジア連帯会議」で協議・合意した、解決のための「日本政府への提言」を提案し、日本軍「慰安婦」問題解決のために取り組んできた団体として、日韓外相会談の結果について以下のようにコメントする。

1, 今回の協議は終始一貫、被害者不在で進められた。それが本日の結果に如実に表れており、「最終的な解決」にするには、被害者にとってあまりにも課題の多いものとなった。とりわけ安全保障政策を重視する米国の圧力のもとで日韓政府が政治的に妥結し、最終的合意としてしまったことは、50年前の日韓基本条約の制定過程を彷彿させ、東アジアが現在もなお、米国の支配下にあることを痛感させられるできごとだった。

2, 日本政府は本日、ようやく国家の責任を認めた。安倍政権がこれを認めたことは、四半世紀もの間、屈することなくたたかって来た日本軍「慰安婦」被害者と市民運動が勝ち取った成果である。しかし、責任を認めるには、どのような事実を認定しているのかが重要であり、それは即ち「提言に示した①軍が『慰安所』制度を立案、設置、管理、統制した主体であること、②女性たちが意に反して「慰安婦」にされ、慰安所で強制的な状況におかれた事、③当時の国際法・国内法に違反した重大な人権侵害であったことを認めなければならないということだ。「軍の関与」を認めるにとどまった今回の発表では被害者を納得させることはできないであろう。

3, 韓国外相は「平和の碑」(少女像)について、「適切に解決されるよう努力する」と述べた。日本政府が、被害者の気持ちを逆なでする要求を韓国政府に突き付けた結果である。このような勝手な「合意」は、被害者を再び冒涜するものに他ならない。

4,さらに、教育や記憶の継承の措置についてはまったく触れず、国際社会において互いに批判・非難を控えると表明したことは、日韓両国が日本軍「慰安婦」問題を女性の人権問題として捉えていないことの証左であるとともに、被害者の名誉や尊厳の回復に反する発言であり、とうてい認めることはできない。

5, この問題が「最終的かつ不可逆的に解決される」かどうかは、ひとえに今後の日本政府の対応にかかっている。問題を解決せず、蒸し返してきたのは、被害者が納得できる措置を日本政府がとらず、安倍政権が「河野談話」の見直しを図るなど、政府として歴史の事実を否定する発言を繰り返してきたためであることを認識しなければならない。

6, 日本政府は、被害者不在の政府間の妥結では問題が解決しないことを認識し、以下のような措置をとらなければならない。
① 総理大臣のお詫びと反省を外相が代読、あるいは大統領に電話でお詫びするといった形ではなく、被害者が謝罪と受け止めることができる形で、改めて首相自身が公式に表明すること。
② 日本国の責任や河野談話で認めた事実に反する発言を公人がした場合に、これに断固として反駁し、ヘイトスピーチに対しても断固とした態度をとること。
③ また、同事業には、被害者が何よりも求めている日本政府保有資料の全面公開、国内外でのさらなる資料調査、国内外の被害者および関係者へのヒヤリングを含む真相究明、および義務教育課程の教科書への記述を含む学校及び一般での教育を含めること。
④ アジア太平洋各地の被害者に対しても、国家の責任を認めて同様の措置をとること。

2015年12月29日
日本軍「慰安婦」問題解決全国行動
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日本軍「慰安婦」問題解決のための日韓外相会談合意に対する挺対協の立場

日本軍「慰安婦」問題解決のための日韓外相会談合意に対する挺対協の立場


 今日、日本軍「慰安婦」問題解決のための日韓外相会談が開催され、その合意案が発表された。日本軍「慰安婦」被害者と国民は、光復70年を数日残して開かれた今回の会談が、正しく速やかな日本軍「慰安婦」問題解決に至るよう切に願ってきた。

 今回の会談の発表によると、1「慰安婦」問題に対し日本政府が責任を痛感、2安倍首相の内閣総理大臣としてのお詫びの表明、3韓国政府が設立する被害者支援のための財団に日本政府が資金を一括拠出し、その後両国が協力して事業を行うというものだ。

 やっと日本政府が責任を痛感したと明らかにはしたが、日本軍「慰安婦」犯罪が日本政府および軍によって組織的に行われた犯罪だという点を、今回の合意から見出すことは難しい。関与レベルではなく日本政府が犯罪の主体だという事実と、「慰安婦」犯罪の不法性を明白にしなかった。また、安倍首相が日本政府を代表し内閣総理大臣として直に謝罪しなければならないにもかかわらず、「代読お詫び」に留まり、お詫びの対象もあまりにあいまいで「誠意のこもった謝罪」だとは受け入れ難い。

 また今回の発表では、日本政府が加害者として日本軍「慰安婦」犯罪に対する責任認定と賠償などの後続措置事業を積極的に履行しなければならないにもかかわらず、財団を設立することでその義務を被害国政府に放り投げて手を引こうという意図が見える。そして、今回の合意は日本内ですべき日本軍「慰安婦」犯罪に対する真相究明と歴史教育などの再発防止措置に対しては全く言及しなかった。

 何よりこのあいまいで不完全な合意を得るため韓国政府が交わした約束は衝撃的である。韓国政府は、日本政府が表明した措置を着実に実施するということを前提に、今回の発表を通じて日本政府とともにこの問題が最終的および不可逆的に解決することを確認し、在韓日本大使館前の平和の碑について公館の安寧/威厳の維持のため解決方法を探り、互いに国際社会で非難/批判を控えるというものだ。小を得るため大を渡してしまった韓国政府の外交は、あまりにも屈辱的である。

 日本軍「慰安婦」問題解決のための合意に臨みながら、平和の碑の撤去というあきれた条件を出し、その真意に疑問を抱かせた日本政府の要求を、結局受け入れるだけでは足りず、今後日本軍「慰安婦」問題を口にしないという韓国政府の姿に心底から恥ずかしく失望した。

 平和の碑は、いかなる合意の条件や手段にすることができないことは明白である。平和の碑は、被害者と市民社会が1000回を越える水曜日を見守り日本軍「慰安婦」問題解決と平和を叫んできた水曜デモの精神を称えた、生きた歴史の象徴物であり公共の財産である。このような平和の碑に対し、韓国政府が撤去および移転を云々したり介入することはありえないことだ。また、被害者と市民社会が受け入れることのできない今回の合意で政府が最終解決の確認をすることは、明らかに越権行為であり、光復70年を数日残したこの重要な時期に被害者を再び大きな苦痛に追いやる所業だ。

 この間、日本軍「慰安婦」被害者と支援団体、そして国民の要望は、日本政府が日本軍「慰安婦」犯罪に対し国家的で法的な責任を明確に認定し、それに従って責任を履行することで、被害者の名誉と人権を回復し、再び同じ悲劇が再発しないようにせよというものだった。しかし、今日の日韓両国政府が持ち出した合意は、日本軍「慰安婦」問題に対する被害者たちの、そして国民のこのような願いを徹底的に裏切った外交的談合に他ならない。

 日本軍「慰安婦」問題は、日韓間の真の友好と平和のため解決せねばならず、被害者が一人でも多く生きているうちに解決すべき優先課題であるが、決して原則と常識を欠いてはならず、時間に追われてかたをつけるような問題ではないことを重ねて強調する。

 2014年の第12回日本軍「慰安婦」問題解決のためのアジア連帯会議で各国被害者の思いを込めて採択した日本政府への提言、すなわち日本政府の国家的法的責任履行が必ず実現されるよう、私たちは今後も日本軍「慰安婦」被害者とともに、国内外市民社会とともに正しい問題解決のための努力をより一層傾けていくことを明らかにする。


2015年12月28日

韓国挺身隊問題対策協議会

* 한국정신대문제대책협의회/기독교대한감리회여선교회전국연합회/기독교대한감리회전국여교역자회/기독여민회/대한예수교장로회전국여교역자연합회/새세상을여는천주교여성공동체/여성교회/원불교여성회/이화민주동우회/전국여성연대/평화를만드는여성회/한국교회여성연합회/한국기독교장로회여교역자협의회/한국기독교장로회여신도회전국연합회/한국여성단체연합/한국여성민우회/한국여성의전화/한국여신학자협의회/한국여자수도회장상연합회/KNCC한국기독교교회협의회여성위원회
(20개 단체)

*(사)에코젠더/(사)한국전쟁전후민간인희생자전국유족회/(사)햇살사회복지회/4.9통일평화재단/KIN(지구촌동포연대)/간토(관동)대진재조선인학살진상규명을 위한 한일재일시민연대/감리교여성지도력개발원/고난받는이들과함께하는 모임/고등학생이함께하는소녀상건립위원회/국제앰네스티한국지부/극단고래/근로정신대 할머니와 함께하는 시민모임/기독교도시빈민선교협의회/기독교사회선교연대회의/기독교환경운동연대/깨어있는사람들/독도수호대/동학혁명실천시민행동/두레방/마포우리동네청년회 청년나비/목포평화의소녀상건립추진위원회/민족문제연구소/민주사회를 위한 변호사모임 과거사위원회/민주사회를 위한 변호사모임/민주사회를 위한 변호사모임미군문제연구위원회/민주주의국민행동/민주주의법학연구회/민주화운동정신계승국민연대/부산민족문제연구소/사도생활단 장상협의회/사회적기업 마리몬드/사회진보연대/새가정사/새시대목회자모임/생명선교연대/생명평화기독연대/생명평화마당/서산평화의소녀상시민추진위원회/성매매근절을 위한 한소리회/성북아동청소년네트워크/세월호를 기억하는 강서양천모임/수원평화나비/시민모임 즐거운 교육상상/아시아평화와역사교육연대/아이쿱소비자활동연합회/야스쿠니반대공동행동한국위원회/여성동학다큐소설작가팀(동학언니들)/연세의료원노동조합/영등포산업선교회/우리겨레하나되기대전충남운동본부/우리겨레하나되기울산운동본부/울산평화나비/의정부평화비건립위원회/인디학교/일본군‘위안부’ 기억의 터 추진위원회/일본군‘위안부’ 문제해결을 위해 날아오르는 희망나비/일본군'위안부' 연구회 설립추진모임/일본군위안부 피해 할머니와 함께하는 부산시민모임/일하는 예수회/장부연대/장준하부활시민연대/전국교직원노동조합/전국대학민주동문회협의회/전국여성연대(전국여성농민회 총연합, 경기자주여성연대, 성남여성회, 용인여성회, 하남여성회, 분당여성회, 광주여성회, 이천여성회, 남양주여성회, 구리여성회, 양주여성회, 고양여성회,의정부두레여성회, 부천여성회, 안양나눔여성회, 수원일하는여성회, 화성여성회, 평택여성회, 오산여성회, 안산여성회, 안성여성회, 경남여성연대, 창원여성회, 남해여성회, 양산여성회, 진주여성회, 사천여성회, 진해여성회,함안여성회,경남여성정치네트워크, 전국여성농민회 경남연합, 전국학교비정규직노동조합 경남지부, 경남민주행동여성위원회(참관), 광주여성회, 구로여성회, 부산여성회, 울산여성회, 천안여성회, 제주여성회, 서귀포여성회, 서울여성연대(준),관악여성회(준))/전국의료산업노동조합연맹/전북인권선교협의회/전북평화의소녀상건립시민추진위원회/정의당 중앙여성위원회/정의평화환경보존위원회/주한미군범죄근절운동본부/참교육을위한전국학부모회(중앙)/참여연대/천안평화의소녀상건립추진위원회/천주교정의구현전국연합(우리신학연구소, 천주교인권위원회, 한국카톨릭농민회, 천주교인천교구노동사목, 천주교정의구현목포연합,천주교정의구현상주연합,천주교정의구현전국연합, 한국카톨릭노동장년회)/청주평화비추진위원회/촛불정보방/태평양전쟁피해자보상추진협의회/평화나비 네트워크(서울 평화나비, 경기 평화나비, 인천 평화나비, 춘천 평화나비, 충청 평화나비, 진주 평화나비, 대구 평화나비, 부산 평화나비, 제주 평화나비) 가톨릭대 평화나비, 인천연합지부(인천대, 인하대, 경인교대, 가천대) 강원대 평화나비, 한림대 평화나비, 춘천교대 평화나비, 고려대 평화나비, 건국대 쿠터플라이, 동덕나비, 명지나비, 서울대 평화나비, 서울여대 슈터플라이, 성신나비, 숙명눈꽃나비, 이화나비, 중앙대 평화나비, 신촌 연합지부(서강대, 홍익대), 서울연합지부(경희대, 한국외대, 세종대, 서경대, 시립대, 서울여자간호대, 삼육대, 동국대, 성균관대, 덕성여대) 안양대 평화나비, 한신대 평화나비, 명지대 평화나비(용인캠퍼스), 경희대 평화나비(국제캠퍼스), 경기대 평화나비, 단국대 평화나비, 한국외대 평화나비(글로벌캠퍼스) 동서대 평화나비, 부산 연합지부(동아대, 영산대) 충북대 평화나비, 청주연합지부(청주교대, 꽃동네대, 청주대), 충남대 평화나비, 공주대 평화나비 경상대 평화나비, 경남과학기술대 평화나비, 진주보건대 평화나비, 진주교육대 평화나비, 제주대학교 평화나비, 제주한라대학교 평화나비/평화나비대전행동/평화박물관/평화어머니회/포럼)진실과정의/한국YWCA연합회/한국기독청년학생연합/한국기독청년협의회한국기독학생회총연맹/한국노동조합총연맹/한국노총서울지역본부/한국이주여성인권센터(충북, 전북, 전남, 대구, 경남, 부산)/한국정신대연구소/한국진보연대(노동인권회관, 민가협양심수후원회, 민족민주열사희생자추모(기념)단체연대회의, 민족자주평화통일중앙회의, 민주노동자전국회의, 민주민생평화통일주권연대, 민주화실천가족운동협의회, 전국농민회총연맹, 전국민족민주유가족협의회, 전국민주화운동유가족협의회(사), 전국빈민연합, 전국여성농민회총연합, 전국여성연대, 조국통일범민족연합남측본부, 통일광장, 평화재향군인회, 한국진보연대, 한국청년연대, 21세기한국대학생연합)/한국천주교남자수도회/한일시민선언실천협의회/해남평화나비/황해도굿보전전수회/ LA나비(Nabifund) (94개단체)


 日本軍「慰安婦」問題、早まった「談合」を警戒する

12月27日、「『帝国の慰安婦』事態に対する立場」を準備した研究者を中心とする、「日本軍『慰安婦』研究会設立推進会」の名前で、28日に予定されている日韓外相会談に対する声明文を発表しています。是非お読みください。(だい)

 
日本軍「慰安婦」問題、早まった「談合」を警戒する


日韓国交正常化50周年である2015年の暮れに、日本軍「慰安婦」問題をめぐる日韓両国政府の 慌ただしい動きがメディアの報道を埋め尽くしています。 

日本の安倍晋三総理が岸田文雄外相に訪韓を指示し、日韓両国は12月28日に外相会談を開催し協議することにしたと伝えられています。また、この背後には李丙琪青瓦台秘書室長と谷内正太郎国家安全保障局長による水面下の交渉があったといいます。 

すでに高齢である被害者たちが存命中に問題を解決することが最善であるという点については 異議を差し挟む余地はありません。しかし時間を理由として早まった「談合」をするのならば、それは「最悪」になるでしょう。 

1990年代初めに日本軍「慰安婦」問題が本格的に提起されてからすでに四半世紀が過ぎました。この長い月日に渡って、被害者たちと、彼女たちの切なる訴えに共感する全世界の市民たちが問題解決のための方法を共に悩み、それによって明確な方向が定まってきました。「事実の認定、謝罪、賠償、真相究明、歴史教育、追慕事業、責任者処罰」がそれです。このことこそが、これまで四半世紀をかけて国際社会が議論を重ねてきた末に確立された「法的常識」です。 

日本軍「慰安婦」問題の「正義の解決」のために、日本政府は「日本の犯罪」であったという事実を認めなければなりません。この犯罪に対し国家的次元で謝罪し賠償しなければなりません。関連資料を余すところなく公開し、現在と未来の世代に歴史の教育をし、被害者たちのための追慕事業をしなければなりません。そして責任者を探し出し処罰しなければなりません。 そうすることではじめて、日本の「法的責任」が終わることになるのです。 

私たちは日本軍「慰安婦」問題に対する韓国政府の公式的な立場が「日本政府に法的責任が残っている」というものであることを再び確認します。韓国政府は2005年8月26日「韓日会談文 書公開後続対策関連民官共同委員会」の決定を通じ「日本軍慰安婦問題など、日本政府・軍等の国家権力が関与した反人道的不法行為については請求権協定によって解決されたものと考えることはできず、日本政府の法的責任が残っている」という立場をはっきりと表明しました。また、これは2011年8月30日の憲法裁判所の決定と、2012年5月24日の大法院判決でも韓国政府の公式的な立場として重ねて確認されました。 

私たちは1995年に始まった日本の「女性のためのアジア平和国民基金」が失敗したことは「日本の責任」を曖昧な形でごまかそうとしたためであることをもう一度確認します。国民基金は日本国民から集めた募金で「償い金」を支給し、日本政府の資金で医療・福祉支援を行い、内閣総理大臣名義の「お詫びの手紙」を渡す事業でした。しかし日本政府が「道義的責任は負うが、法的責任は決して負えない」と何度も強調し、まさにその曖昧さのせいで多くの被害者たちから拒否されたのです。 

今、日韓両国政府がどのような議論をしているのかは明らかではありませんが、メディアによって報道されている内容は上述のような国際社会の法的常識と日本軍「慰安婦」問題の歴史はもちろん、韓国政府の公式的な立場とも明らかに相容れないものです。1995年の国民基金の水準さえも2015年の解決策とはなりえません。それ以下であるのならば、さらに言うまでもありません。何よりもそれはこれまでの四半世紀の間、「正義の解決」を訴えてきた被害者たちの願いをないがしろにするものです。 

今から50年前、日韓両国政府は「経済」と「安保」という現実の論理を打ち立て、過去清算問題に蓋をすることを「談合」しました。まさにそのために今も被害者たちは冷たい街頭で「正 義の解決」を訴えざるをえなくなりました。50年前と同じ「談合」をまたしても繰り返すので あれば、これは日韓関係の歴史に大きな誤りをまたひとつ追加する不幸な事態になってしまうでしょう。 
2015.12.27. 

日本軍「慰安婦」研究会設立準備会 

[挺対協報道資料] 12.28日韓外相会談に向けて 「平和の碑」の撤去といった前提条件付きで日本軍「慰安婦」問題を解決することは不可能です。

[挺対協報道資料] 12.28日韓外相会談に向けて

「平和の碑」の撤去といった前提条件付きで日本軍「慰安婦」問題を解決することは不可能です。

 光復70周年をこのまま終えるのが惜しいのだろうか。安倍首相が2015年もあと数日という今、世論づくりの主人公として踊り出た。
 いつもそうだった。緊急で重要な外交問題を、メディアを通して暴露し、世論はこれに踊らされ惑わされてきた。その波紋は、あたかも真実であるかのように、直ちに歴史を変えるかのように、世の中を騒がせた。過ぎて見れば結局何らの進展もなく、内容のないパフォーマンスに過ぎなかった。その中で、被害者たちは「今度は本当に可能性があるのか?」と期待し、「やっぱりダメなのね」と天国と地獄を行き来する。このような日本政府を見て「まるで私たちをからかっているみたい」と言う。
 この度の事態は、安倍晋三首相が25日、岸田外相に「慰安婦」問題妥結のため年内に韓国を訪問するよう電撃的に指示したという日本のある放送局の報道から始まった。韓国メディアも一斉に日本発のニュースを報道し始めた。外交の相手国である韓国政府との間でやりとりされている重要で緊急な外交議題を、このようにメディアを通して流し、世論づくりをして日本政府の立場を固めようとする下心が実に見苦しい。そして、そのように騒々しく登場した「年内妥結」努力の中身は空疎としか言いようがない。
 日本のメディア報道によると、安倍首相が責任をとるという解決の中身は「被害者支援のためのアジア女性基金のフォローアップ事業を拡大して1億円規模の基金を創設することと、安倍首相の謝罪の手紙」だという。これでは10年前、日本政府が法的責任を否定して掲げた「補償に代わる措置」としてのアジア女性平和国民基金のやり方と何ら変わらない。アジア女性基金は、被害者の反対にあって既に失敗した日本政府の政策だった。
 私たちは、緊急に開かれる2015年最後の日韓外相会談では真に日本軍「慰安婦」問題解決のための正しい協議がおこなわれるよう願い、以下のように明らかにする。

1. 解決の内容に何が盛り込まれるべきか。

 すでに私たちは何度も日本政府と韓国政府に要求している。2014年、東京で開催された第12回日本軍「慰安婦」問題アジア連帯会議で採択された提言で、また2015年にソウルで開かれた第13回アジア連帯会議の決議で求めた内容だ。
 第一に、日本軍「慰安婦」問題解決のために日本政府は、①日本政府および軍が軍の施設として「慰安所」を立案・設置し管理・統制したこと、②女性たちが本人たちの意に反して「慰安婦・性奴隷」にされ、「慰安所」等において強制的な状況の下におかれたこと、③日本軍の性暴力に遭った植民地、占領地、日本の女性たちの被害にはそれぞれに異なる態様があり、かつ被害が甚大であったこと、そして現在もその被害が続いているということ、④当時の様々な国内法・国際法に違反する重大な人権侵害であったという事実と責任を認めなければならない。
 第二に、このような事実認定に基づいて、①翻すことのできない明確で公式な方法で謝罪すること、②謝罪の証として被害者に賠償すること、③真相究明のため、日本政府保有資料の全面公開、国内外でのさらなる資料調査、国内外の被害者および関係者へのヒヤリング、④再発防止措置として義務教育課程の教科書への記述を含む学校教育・社会教育の実施、追悼事業の実施、誤った歴史認識に基づく公人の発言の禁止、および同様の発言への明確で公式な反駁等をおこなうことである。

2.解決に前提条件はありえない。日本政府は責任を尽くさなければならない。

 解決の前提条件として「平和の碑」の撤去と「二度と問題を蒸し返さないという約束」を提示していることは、安倍政権が表向きには日本軍「慰安婦」問題の解決を口にしながら、実は日本軍「慰安婦」問題を解決する意思がないのだとしか解釈できない。さらにこれは、仮に日本軍「慰安婦」問題が未解決のまま残された場合に、その責任を被害者側である韓国社会に押しつけるための術策ではないかとさえ思われる。
 「平和の碑」は、1992年1月8日に始まった水曜デモが2011年12月14日に1000回を迎えた日に、20年以上も毎週水曜日にその場所で訴えてきたハルモニたちと私たちの歴史を記憶するために建てたものだ。過去の辛い歴史を記憶することを超えて、被害者と市民の1000回もの叫び、20年もの歳月あきらめずに水曜デモをおこなってきた過程を表現したものである。そして、戦争を経験していない若い世代に、生きた歴史教育の場として、人権と平和教育の教室として、被害者の人権擁護活動の象徴として積み重ねてきたその歴史を前向きに評価し、褒め称えて「平和の碑」を建てたのである。ところがこれの撤去を条件とすることは、加害者が被害者の問題解決の歴史を抹消しようとする暴力的な動きであり、新たな障害を作り出すものである。
 「二度と問題を蒸し返さないという約束」をしろという前提条件も、加害者側が出してはいけないもので、ありえないことだ。それは、日本政府の正しい責任履行によって実現されることで、韓国政府が前提条件として約束する事柄ではないからである。

3.私たちは、日本軍「慰安婦」問題解決のため、25年間、諦めずに走ってきた。その成果が国連と国際社会の決議採択、日本政府への勧告を引き出し、韓国憲法裁判所の判決を生み出したのだと思う。また、このような圧力によって、日韓政府が日本軍「慰安婦」問題を外交議題として議論するようになったのだと思っている。12月28日に予定されている日韓外相会談は、25年もの間努力してきた、このような被害者たちの活動とアジアの被害国の女性たち、そして国際社会の努力が実を結ぶような形で結果が引き出されなければならない。万が一にも懸念される、外交辞令でお茶を濁すような解決ではなく、被害者が心から納得できる、受け入れることのできる、速やかで正しい解決を願う。

※金福童ハルモニの立場
「安倍が謝罪の手紙を出して、10億ウォンで解決するって? そんなことで解決はできないよ。こっそり、誰も分からないように手紙を出しておいて、後でまたそんなことしてないって言うつもりじゃないの? 記者をみんな集めて、その記者たちの前で宣言しなきゃ。日本が、安倍の時代にやったことではないけど、祖先たちが私たちに悪いことをしたってこと、戦場に私たちを連れて行って、あんな凄惨な状況で軍人たちにされたこと、申し訳なかったって、許して欲しいって言わなきゃ。それも、一人でやるんじゃなくて、日本政府の公式的な立場でやらなきゃ。それから10億ウォン、私たちがお金が欲しくてこんなに長い間こうしてきたと思ってるのかね? 私たちも、今では韓国政府が生活支援金もくれるし、民間団体でこうして面倒もみてくれてるんだから、お金がなくて言ってるわけじゃないじゃない。法的に賠償しろってことなんだよ。それは、犯罪国家として、罪をおかしたということを認めろってことよ。そうじやないですか? それから少女像を撤去しろってことだけど、それと問題を解決するのとは関係のない、全く別のことだと思うんだけど、どうしてやたらと少女像をなくせって言うのか分からないね。私たちの国に私たちが建てたのに、どうして日本がああしろこうしろって指図するの? 少女像は私たちの過去の歴史、過去にああいう辛いことがあったってことを、後生に伝えて二度と同じようなことがないように、歴史の勉強をさせる目的で建てたのに、なぜ歴史を消せ、なくせって言うのか分からない」

2015年12月26日
韓国挺身隊問題対策協議会共同代表
ユン・ミヒャン、ハン・グギョム、キム・ソンシル

吉見義明さんの裁判の判決を前に公正な判決を求める国際署名

みなさま 

1月20日、吉見義明さんの裁判の判決を前に公正な判決を求める国際署名がスタートしました。

ぜひとも、多くのみなさんのご協力をよろしくお願いします

 (ぱん)



【転送歓迎】

裁判所に公正な判決を求める署名にご協力ください。

 

中央大学の吉見義明さんが、日本維新の会(当時)の桜内文城衆議院議員(当時)を名誉毀損で訴えた裁判が、2016年1月20日、ついに判決を迎えようとしています。

吉見さんは、日本軍「慰安婦」問題の第一人者として、日本のみならず、世界的に信頼されている研究者です。そのような人の著書を「ねつ造」と、外国特派員協会の記者会見の場で発言した桜内氏は、著しく吉見さんの名誉を傷つけたにもかかわらず、発言を撤回するどころか、法廷でもさらなる名誉毀損ととれる発言を繰り返しました。さらに、被告側は、「慰安婦=性奴隷説はねつ造」であり、吉見さんが著書のなかで「慰安婦は性奴隷であると断定している部分はねつ造である」とも主張し始めました。

日本軍「慰安婦」は性奴隷制度ではなかったとする主張は、日本の国家・軍隊が過去におこなった支配や暴力、その歴史から目を背けるもので、被害者をさらに傷つけるものです。

この裁判で勝訴を勝ち取ることができなければ、吉見さんの名誉回復ができないだけでなく、被告側の主張により再び傷つけられた被害女性たちの名誉も回復することができません。

どうぞ、裁判所に公正な、そして歴史と世界に恥じない判決を出すよう求める国際署名にご協力ください。

 

*こちらから署名できます。

http://www.yoisshon.net/2015/12/blog-post.html

 


 

裁判所に公正な判決を求める国際署名

東京地方裁判所 民事第33部 合議1E係 御中

中央大学の吉見義明さんが日本維新の会(当時)の桜内文城衆議院議員(当時)を名誉毀損で訴えた裁判(平成25年(ワ)第19679号 損害賠償等請求事件)が、2016年1月20日に判決を迎えるに当たり、私たち日本の市民、そして世界の市民は、裁判所が公正かつ正義の判決をだされますよう切に訴えます。 

原告吉見義明さんは、丹念な資料調査と証言の聞き取り等により日本軍「慰安婦」問題の実態解明に誰よりも大きく貢献し、被害者に希望の光を与え、世界に日本の良心を示してきました。ところが被告はこの原告の著書を「捏造」であると発言し、さらに本法廷では、原告が「慰安婦は性奴隷であると断定している部分は捏造である」とも述べています。

研究者の研究業績を捏造であると公言し、さらにその業績の結論とも言うべき命題を捏造であると指摘する行為は、研究者に対する重大な名誉毀損であるだけでなく、研究者の社会的存在そのものを否定する暴挙です。

「慰安婦」問題の研究者として国際的にも高名な原告の、まさにその業績を「捏造」と断定した被告について、日本の司法がどのような判断を下すか、世界中の市民も注目しています。

裁判所におかれましては、歴史と世界に恥じない判決を出されますよう心から要望いたします。

【大阪府教委】「慰安婦」に関する補助教材に係る公開質問状に対する回答について

大阪府教育委員会が作成した「『慰安婦』に関する補助教材」に対して、私たちは11月10日に「抗議文および公開質問状」を提出しました。
またこの件で、12月1日に府教委交渉をおこなったところです。
そして12月9日、私たちの質問状に対し、大阪府教委は正式に文書で回答をしました。
この内容は読んでいただいて分かるとおり、私たちの質問には一切答えていません。
このような回答で納得できるはずもありませんが、大阪府教委は前回で交渉は終わりであるという態度です。

みなさま、ぜひとも大阪府教委の回答をお読みください。
そして怒りをともにしてください。
(だい)



平成27 年12 月9日
日本軍「慰安婦」問題・関西ネットワーク
子どもたちに渡すな!あぶない教科書大阪の会 様

高等学校課長
「慰安婦」に関する補助教材に係る公開質問状に対する回答について
(質問)
1 補助教材として日本軍「慰安婦」被害者の証言、少なくとも日本の裁判所にて認定された被害事実を掲載するべきと考えます。[資料①]これに対する貴職の考えを教えてください。
2 日本政府の主張ばかりを載せるのではなく、国連の勧告、アメリカ・EU議会の決議等、国際社会から日本政府に対して要求されている声を掲載するべきと考えます。[資料②]これに対する貴職の考えを教えてください。
【質問1,2に対する回答】
本補助教材の作成にあたっては、平成26 年1月に改正された国の高等学校教科用図書検定基準や、平成27 年3月4日付の「学校における補助教材の適正な取扱いについて(通知)」の内容を踏まえました。新しい国の検定基準では、「政府の統一的な見解や最高裁の判例がある場合には、それに基づいた記述をする」旨が示されていることから、この補助教材についても、政府見解等を活用することとしました。

(質問)
3 大阪府教育委員会として、日本軍「慰安婦」被害者の強制連行はなかったと考えているのでしょうか。なかったと考えているのであれば、[資料①]も参考にした上で、その根拠を教えてください。あったと考えているのであれば、なぜその事実を教材に掲載しないのか教えてください。
【質問3に対する回答】
府教育委員会は、生徒に客観的かつ公正な資料に基づいて歴史の事実に関する理解を進めることが大切であると考えています。また、指導に当たっては、多面的・多角的に考察し、公正に判断する能力をはぐくむため、史実の認識や評価に慎重を期する必要があります。それゆえに、補助教材には、朝日新聞の記事取り消しという明白な事実と、種々の政府見解を取り上げることにしました。

(質問)
4 吉田証言が否定されたことを今、副教材として取り上げるのは、吉田証言が教育現場で教えられていると判断されたからでしょうか。そうであれば、吉田証言を教育現場で教えている事実を調査しましたか?そうでなければ、教育現場で教えられていない吉田証言を副教材に掲載する意図を教えてください。
【質問4に対する回答】
吉田証言について教育現場で教えている事実があるかどうか調査していませんが、取り消された記事の内容に依拠した資料や情報を活用した指導が行われている場合は訂正する必要があるため、今年2月に府教育委員会は、「取り消された記事の内容に依拠した資料や情報を活用した指導が行われている場合は訂正するよう」府立学校校長・准校長あて通知をしました。今回は、その通知文に引き続いて、生徒が慰安婦問題についての理解を深めることができるよう、補助教材を作成したものです。

(質問)
5 この教材を作成するに当たり、学識経験者の意見を求めましたか。もし学識経験者の意見を求めたのであれば、それが誰なのか教えてください。もし意見を求めなかったのであれば、それはなぜなのか教えてください。
【質問5に対する回答】
本教材の作成に当たり、学識経験者の意見は求めていません。
質問3に対する回答のとおり、府教育委員会は、生徒に客観的かつ公正な資料に基づいて歴史の事実に関する理解を進めることが大切であると考えています。また、指導に当たっては、多面的・多角的に考察し、公正に判断する能力をはぐくむため、史実の認識や評価に慎重を期する必要があります。それゆえに、補助教材には、朝日新聞の記事取り消しという明白な事実と、種々の政府見解を取り上げることにしました。

【追悼】チェ・ガプスンハルモニ

挺対協からまたしても訃報が届きました。
日本の人にもなじみのある、カプスンハルモニです。
「ハルモニたちの時間は刻一刻と過ぎていきます。日本政府は一日も早く公式謝罪し法的賠償することで、苦痛を受けているハルモニの心を少しでも軽くしなければなりません。」
全くその通りです。
今生きているハルモニのためにも、そして無念のうちに亡くなったハルモニのためにも。諦めるわけにはいきません。(だい)




皆さま

日本軍「慰安婦」被害者チェ・ガプスンハルモニが
12月5日午前0時56分に亡くなられました。

ハルモニは
1919年に全羅南道クレで生まれました。
15歳のときに日本の巡査が父親を捕まえにきましたが
8人家族で父親が連れていかれれば生計が成り立たないと
変わりに長女のハルモニが連れていかれることになりました。
全州を経て満州の牡丹江まで連行され
日本兵だけがいる部隊で慰安婦生活を強いられました。
部隊が移動するたびにあちこち連れて行かれ
8月15日に解放を迎えた後
3~4年間さまよったあげく
歩いて故郷のクレにたどりつきました。

ハルモニは長い間老衰で病院に寝たきりでした。
「罪を犯さず生きなければならない」と言われていましたが
罪を犯した人々から謝罪も受けられずあの世に逝かれてしまいました。
ハルモニ、つらかったことは忘れあの世で安らかにお眠りください。

日本軍「慰安婦」生存者は46人となりました。
ハルモニたちの時間は刻一刻と過ぎていきます。
日本政府は一日も早く公式謝罪し法的賠償することで
苦痛を受けているハルモニの心を少しでも軽くしなければなりません。

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12月2日 第112回大阪駅前水曜行動

12月に入ったにしては暖かく風もあまりない夜となり、60人の参加で、賑やかに水曜デモを行うことができました。関西ネットからの報告では、「慰安婦」問題に関する日韓首脳会談に際し、日本政府側が「金さえ出せばいいんだろう」という方向で臨んでいることの不当性を訴え、日本軍「慰安婦」問題解決全国行動が出した要請書「日本政府は被害者が受け入れられる解決策を」への賛同を呼びかけました。
 恒例「パウイチョロン」の踊りに続き、2008年に宝塚市議会が日本で初めて「慰安婦」問題への誠実な対応を求める意見書を出すにあたって中心的役割を果たされた大島淡紅子市議にアピールしていただきました。大島市議は意見書可決のあと、差別排外主義者らによって様々な嫌がらせを受けてきたことや、良心的保守派といえる自民党市議らが引退し世代交代する中で、昨年秋、かつての意見書を否定する市議会決議があげられてしまったことを報告された後、今回の大阪W選結果に表れているような、わかりやすさに走る風潮に惑わされてはいけないと訴えられました。最後に嬉しい報告として、宝塚市長が性的少数者支援の施策を打ち出し、いずれ公共住宅にも同姓婚カップルが入居できるようにすることを目指していると話されたときには、みんなが笑顔になりました。
 若者アピールでは、いつも関西ネットの催しをサムルノリ演奏で盛り上げてくれている在日青年が、今年夏に平和紀行で韓国を訪問し、ウリチブで「慰安婦」被害者のハルモニと交流できた喜びを語ってくれました。この問題をもっと拡げねばと今日は仲間を誘ってきて、そのうちの一人は今関西ネットの幟を掲げているというお話には、ああこうして連帯の輪が広がっていくのかと心が熱くなりました。
 「シャッフルアリラン」の踊りに続き、南京大虐殺60ヶ年大阪実行委員会の一員でもある関西ネットのメンバーが、兵隊として南京に行った父親を持ち、南京で日本兵が髪の毛をつかんで中国人の生首を吊り下げている写真に衝撃を受けた若い日の体験を語りました。そして、20年ほどにわたって、南京大虐殺の中を生き延びた人たちを日本に招いて証言してもらい、今年12月5日午後にもPLP会館で集会を開くが、それが被害証言を日本で直接聞ける最後の機会になると思われるのでぜひ参加してほしいと訴えました。
 続いて、いつもこの水曜行動を防衛してくださっている釜日労の方が、11月に2週間にわたって沖縄辺野古で埋め立て阻止行動に参加した経験を話してくださいました。ゲート前の座り込みでは、女性たちが大きな役割を果たしているとのこと。女性たちは「いくさいちばい」を合言葉に、生活を守るためのいくさ(闘い)では、女性が一番力を発揮できるという信念を持ちながらも、決して肩肘張らず、座り込みという早朝の一仕事が済めば、山羊にえさをやりに家に戻ったり、仕事に出かけたり、というのを日常としているそうです。そして、辺野古の人々は「沖縄から日本を変える」「沖縄の闘いによって安倍政権に風穴を開ける」と宣言しているというお話を聞き、何か勇気が湧いてくるような気持ちの高まりを感じました。
 最後に、連帯の思いを胸にみんなで「共に行こうこの道」を歌い上げ、元気にシュプレヒコールをあげて、2015年最後の水曜行動を終えました。次回水曜行動は来年1月6日です。皆さんのご参加をお待ちしています。(たな)
ブログ用

「慰安婦」教材に関する大阪府教委交渉報告

2015年12月1日 「慰安婦」教材に関する大阪府教委交渉報告
大阪府教委は日本軍「慰安婦」被害者の被害事実を教えろ!


 2015年12月1日、「子どもたちに渡すな!あぶない教科書大阪の会」と「日本軍『慰安婦』問題・関西ネットワーク」とによる、「慰安婦」補助教材に関する大阪府教育委員会との交渉が行われました。府教委からは2名が対応、こちらからは両団体の他、「日の丸・君が代」不起立処分に反対する教職員・市民など約20人が参加しました。
 まず府教委側より、補助教材に至る経過説明がありました。
 朝日新聞の「吉田証言取り消し」を受けて、2014年の9月議会で維新の会の西田議員より「吉田証言が虚偽だったので、教科書の記述根拠がなくなった」と学校現場での教育の是正を求める質問をし、松井知事が「誤報を認めた限り強制の証拠がなくなった。間違った教科書で知識を得るのはマイナスなので、補完するための教材を配布する」と答えたことが、今回の発端です。
 これに対して府教委として対応策を協議し、補助教材を配布するのではなく、2月20付で通知「学校における適正な指導及び教材の適正な取扱について」を出し、学校現場で吉田証言に依拠するような授業をしているような場合には是正するよう通知を出しました。
 するとまたしても2月議会でこのことが取り上げられ、知事は「補助教材はしっかり出すようにする、総理談話も注視しながら」と答弁しました。
 そして府教委は安倍談話の発出を待ち、今回の教材作成に至ったわけです。


1,なぜ政府の見解しか教えないのか?

 なぜこの補助教材には政府の見解しか載せていないのか? 私たちがこのことを追求すると、府教委は以下のように答えました。
 2014年1月に改正された教科書検定基準では、「政府の統一的な見解や最高裁の判例がある場合には、それに基づいた記述をする」とある。そして編集に当たって、「客観的かつ公正な資料に基づいて、歴史の事実に関する理解を深めることが大切」であり、指導に当たって「多面的・多角的に考察し、公正に判断する能力を育むため史実の認識や評価に慎重を期する必要がある」ために、朝日新聞の「吉田証言の取り消し」という明白な事実と、種々の政府見解を取り上げることにした、と。
 私たちから見れば、この説明にはかなり無理があります。府教委は「多面的・多角的」と言いますが、今回の補助教材は国の見解を羅列しただけの一方的な教材にしか見えません。
 そして教材を普通に読めば、「慰安婦」問題はなかったとしか判断できません。朝日新聞の「吉田証言取り消し」があって、第1次安倍内閣の「強制連行の証拠はなかった閣議決定」があって……、しかしそういう指摘にしたいして、府教委は「でも河野談話も載せています」「安倍政権は河野談話を否定していない」と反論します。そして政府見解の中にも様々な見解があり、それが「多面的・多角的」であると主張するのです。最初は何を言っているのか分かりにくかったのですが、政府見解の変遷、つまり安倍政権が日本軍「慰安婦」問題を否定しようと企てたにもかかわらず、それをなしえず未だ河野談話を継承せざるを得ないことを学ぶことで、「多面的・多角的」な学習ができると考えているようなのです。

 しかし政府見解の羅列だけで高校生がそれを読み取るのは、相当に難しいと判断せざるをえません。そしてもし読み取る能力があったとしても「安倍政権はブレているな」と感じる程度で、その根本の問題、つまり日本軍「慰安婦」問題とはなんであるのかを学ぶことは、この教材からは不可能です。これは「『慰安婦』に関する日本政府の見解の変遷に関する補助教材」であったとしても、表題通りの「『慰安婦』に関する補助教材」ではありえません。


2,日本軍「慰安婦」被害者の被害体験を補助教材に記述せよ!

 日本軍「慰安婦」問題を学ぶための教材であるならば、被害者の証言――「慰安婦」にさせられた女性がどのような辛い体験をしたのかという被害事実を載せなければ、意味がありません。補助教材には被害者の証言を載せるべきだと私たちは強く主張し、そしてこのことが交渉の最大の焦点となりました。
 私たちは「証言こそが日本軍『慰安婦』問題を学ぶための必要不可欠な教材である」と主張し、「それは認めますよね」と追求すると、「証言は有効な教材である」と認めました。また現場教員が補助教材に追加して証言などを用いて授業を行うことも、否定しませんでした。
 しかし、補助教材に被害事実を追加記載すること、あるいは被害事実を含めた追加教材を作成することについては否定し、認めようとしませんでした。その可能性を検討することさえ否定しました。「それはなぜですか?」「断る理由はないでしょう」といくら問うても、何も答えようとしません。
 その材料、維新の会も否定しようのない被害事実を、こちらで用意しますよと提案しているにもかかわらず。

 被害事実を教えずに、本当に「多面的・多角的」で「客観的かつ公正」な学習が可能なのでしょうか? 府教委はそれが可能と言い張ります。なので私たちは問いました。
 「政府答弁はすべて真実なのか?」
 「真実ですよね」
 しかし現実には、11月10付の「抗議文および公開質問状」にも資料として添付しましたが、安倍政権の見解は国際的な批判を浴びています。2014年の国連自由権規約委員会の最終所見では「委員会は、締約国(日本)が、慰安所のこれらの女性たちの『募集、移送及び管理』は、軍又は軍のために行動した者たちにより、脅迫や強圧によって総じて本人たちの意に反して行われた事例が数多くあったとしているにもかかわらず、『慰安婦』は戦時中日本軍によって『強制的に連行』されたのではなかったとする締約国の矛盾する立場を懸念する」と、明確に批判されています。
 「多面的・多角的」とは、日本政府の主張と国際世論の対立の双方を学んで初めて学ぶことができるのであって、日本政府の見解を追いかけているだけでは絶対に学ぶことはできません。
 また安倍政権は現在、日本軍「慰安婦」問題の強制連行があったと認めようとはしませんが、「政府見解が絶対的に正しいのならば、強制連行はなかったと判断しているのか?」と問いました。
 その返答は、「強制連行があったかなかったかは事実として明確になっていない」です。
 大阪府教委は誤った理解をしています。強制連行があったことは、明確な事実です。これも府教委には事前に資料を渡していたのですが、中国人「慰安婦」裁判、あるいはオランダ人「慰安婦」裁判で、どう見ても強制連行としか判断できない被害が、裁判所で事実認定されています。
 いみじくも府教委の浅い理解が示したように、政府見解だけでは「多面的・多角的」で「客観的かつ公正」な理解など、できるはずがないのです。
 だから、まず、被害事実から学ぶことが必要なのです。証言が必要なのです。

 なぜ、補助教材に被害事実を追加記載すること、あるいは被害事実を含めた追加教材を作成することを、府教委は受け入れないのでしょうか?


3,吉田証言はなんの影響も与えていないのに?!

 松井知事が補助教材の作成を答弁した9月議会の後、府教委は対応を検討した結果、補助教材の作成ではなく、教育現場に「吉田証言を根拠に授業しないように」という指示で終わらせようとしました。しかし2月議会でまたしても蒸し返され、今回のような補助教材が作られる結果となりました。
 驚かされたのは、吉田証言が現在の教科書の記述に何らかの影響をあたえるものではないということを、府教委も交渉の最初から認め、しかも松井知事が補助教材を口にした当初から府教委は「教科書の記述を返るものではない」と認識していたということでした。
 吉田証言は1993年~1994年には「史料として使えない」と判断されており、現在の歴史学に何の影響も与えていません。それは学問の世界では常識であり、朝日新聞が吉田証言を取り消したからといって、高校の歴史教科書の記述に全く影響を与えるものでないことは、当然です。しかし、そういう正しい認識をしておきながらこのような教材と作るということであれば、重大さは全く異なります。
 教科書の記述に影響を与えないのであれば、なぜ今、朝日新聞の「吉田証言取り消し」を補助教材で教える必要があるのでしょうか? これは「多面的・多角的」とか言えるレベルではなく、高校生たちにとっては無用の混乱です。学校現場で最初から教えられていないものを、しかも日本軍「慰安婦」被害者の被害実態を教えられることなく、「吉田証言取り消し」を持ち込むのですから。こんなものはもはや歴史の教育ではありません。

 私たちは質問状で、「吉田証言を教育現場で教えている事実を調査しましたか?」と質問していましたが、回答は「調査はしていない」ということでした。調査することを思いつきもしなかったようです。
 維新の西田議員が「吉田証言が虚偽だったので、教科書の記述根拠がなくなった」と吠えたとき、もし府教委に抵抗する気があれば、「現場で吉田証言を根拠とする授業はなされていない」ということを確認するはずです。だって、現場で吉田証言に基づく授業なんてなされているわけがありません。済州島で日本軍「慰安婦」の強制連行があったなんて、誰が教えるでしょうか? それでなくとも、被害者がこれだけ名乗り出ているというのに、吉田証言を取り上げる意味がありません。授業で使われていないのであれば、このような教材を作成する理由もなくなります。
 ましてや府教委は最初から、吉田証言は教科書の記述に何ら影響を与えていないと知っていたのですから。
 ならばなぜ調査しなかったのか? 調査する必要を思いつきもしなかったのか?

 これから先は推測ですが、だれもが思っていることです。
 この問題は学術論争ではなく、「政治」だから。大阪府教委は維新の政治的圧力に対して徹底的に抵抗する気はなく、最初から膝を折っていたのです。
 それでも、府教委のことを好意的に判断するならば、維新の補助教材に対する圧力に対して2月20付通知「学校における適正な指導及び教材の適正な取扱について」で対応したことは、それなりに抵抗した結果なのだとは思います。そしてそれでも教材を作らなければならないことを迫られたとき、「強制連行はなかった」「『慰安婦』問題は虚偽である」という維新の意向を排し、「慰安婦」問題を否定しきれなかった安倍政権のブレを掲載したことは、府教委なりの抵抗だったのかも知れません。
 しかしそれは、残念ながら府教委の自己満足でしかありません。
 府教委は結局、教育ではなく、政治を選択したのです。
 教育行政が責任を持たなければならないのは、子どもたちの教育に対してだけです。子どもたちの教育に対してだけ誠実でなければならず、他のベクトルは一切不要です。教育行政に政治介入を許すなど、教育の「死」です。
 このような教材を押しつけられ、日本軍「慰安婦」問題のなんたるかを一切教えられない高校生たちは、不幸としかいいようがありません。

 府教委は、今回で交渉を終わらせようとしています。今回で十分に誠実に対応したと。
 しかし府教委は私たちの質問に、何も答えていません。
 なぜ、補助教材に被害事実を載せることができないのか? なぜ日本軍「慰安婦」問題のなんたるかを教えることができないのか?
 それが政治だからとか、維新の圧力に火を注ぐとか、そんな理由は納得できません。

 大阪府教委は、今一度、「教育とはなにであるのか?」と自問して欲しいと、切に願います。教育行政に誇りを持ち、生徒に対してだけ責任を持って欲しいです。
 私たちは何度でも大阪府教委に交渉を申し入れます。何度でも何度でも、日本軍「慰安婦」被害者の証言を、被害事実を突きつけます。そして正しい歴史認識に基づく日本軍「慰安婦」問題の教育を追求します。
 日本軍「慰安婦」被害者のために! そして未来を担う高校生たちのために! (だい)

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日本軍「慰安婦」問題・関西ネットワーク

Author:日本軍「慰安婦」問題・関西ネットワーク
わたしたちは日本軍「慰安婦」問題解決のため、関西を中心に活動しています。

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