大阪府教委の「慰安婦」補助教材に対する再要望書

 日本軍「慰安婦」問題・関西ネットワークと子どもたちに渡すなあぶない教科書大阪の会は、1月25日、大阪府教委に再要望書を提出しました。
 私たちはこの間、大阪府教育委員会が作成した「『慰安婦』に関する補助教材」に対して、私たちは11月10日に「抗議文および公開質問状」を提出しました。
 またこの件で、12月1日に府教委交渉をおこなったところです。
 そして12月9日、私たちの質問状に対し、大阪府教委は正式に文書で回答をしましたが、その内容は実質的には「無回答」に等しいものです。そのような回答で納得できるはずもありません。

 そこで私たちは、今回の再質問状を提出しました。これは12月28日の日韓外相会談での「合意」を受けて、その内容を副教材に反映することを求めるものです。
 日韓「合意」は、被害者にとっても、日本で支援活動をする私たちにとっても到底許容できるものではありません。
 しかし大阪府教委作成の教材は、河野談話を否定し、安倍談話を持ち上げ、「強制連行はなかった」=「日本軍「慰安婦」問題はウソだった」論に加担しかねないものだけに、大阪府の副教材を明確に河野談話に引き戻し、そして加害の事実をキチンと教え正しい歴史認識を育むための教材にしていかなければなりません。
 今後、大阪府教委に引き続き交渉を申し入れていきます。(だい)




2016年1月25日
大阪府教育委員会 様

日本軍「慰安婦」問題・関西ネットワーク
子どもたちに渡すな!あぶない教科書大阪の会

大阪府教委の「慰安婦」補助教材に対する再要望書

 10月28日の教育委員会会議で「『慰安婦』に関する補助教材について」が示されました。これに対して11月10日に質問を行った私たちへの文書回答は、肝心の要望・質問には一切答えておらず、このような回答では到底納得出来ません。
 そんな中、12月28日の日韓外相会談において日本軍「慰安婦」問題について日韓政府レベルの「合意」がなされました。日本軍「慰安婦」問題について生徒の理解を深めるためには、この新たな状況を踏まえた教材が必要です。日本軍「慰安婦」被害者は、日本政府による公式の謝罪と賠償だけでなく、被害を二度と繰り返さないための教育の必要性を訴えています。日本軍「「慰安婦」問題の真の解決のためには、教育の果たす役割は重大です。是非とも、以下の要望事項について真摯に回答するよう求めます。

【要望事項】

(1)日韓「合意」の中に示された安倍首相の言葉を補助教材に追加すること

 日韓外相会談での「合意」は、日本軍「慰安婦」被害者不在でなされたものであり、「最終的な解決」とするにはほど遠いものでした。
しかし、安倍首相の言葉として「軍の関与のもとで女性の名誉と尊厳を傷つけた」ことを認め、「日本政府の責任」と「心からのお詫びと反省」を表明し、日本政府の立場を明らかにしたということは事実です。この発言は、1993年に閣議決定された河野談話が次のように述べたものを再確認し表明したものと考えられます。
 「慰安所は、当時の軍当局の要請により設営されたものであり、慰安所の設置、管理及び慰安婦の移送については、旧日本軍が直接あるいは間接にこれに関与した。慰安婦の募集については、軍の要請を受けた業者が主としてこれに当たったが、その場合も、甘言、強圧による等、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、更に、官憲等が直接これに加担したこともあったことが明らかになった。また、慰安所における生活は、強制的な状況の下での痛ましいものであった。…その募集、移送、管理等も、甘言、強圧による等、総じて本人たちの意思に反して行われた。…いずれにしても、本件は、当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題である。政府は、この機会に、改めて、その出身地のいかんを問わず、いわゆる従軍慰安婦として数多の苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われたすべての方々に対し心からお詫びと反省の気持ちを申し上げる。」
 これは、府教委が慰安婦の副教材を作成した際に踏まえたとされる、平成26 年1月に改正された高等学校教科用図書検定基準と平成27 年3月4日付の「学校における補助教材の適正な取扱いについて(通知)」の内容にも合致したものである以上、府教委の「補助教材」に、今回の「合意」内容を、河野談話と関連づけて追加するように求めます。

(2)日韓「合意」に対する被害者の声を補助教材に追加すること

 日韓「合意」に対し、韓国社会で批判の声があがり、大きな反対運動に発展しています。特にご高齢の被害者自身が「被害当事者である私たちを無視している」と怒りをあらわにしていることは、教材作成の際にも留意せざるを得ないと考えます。
 なによりこの教材が日本政府の見解を一方的に取り上げることに終始しており、被害者の証言など被害事実に一切触れていないことは、今回の「合意」同様、「被害者不在」と批判されても仕方がないものと、私たちは考えます。
 日韓「合意」の内容を取り上げることは当然のこと、この「合意」に対して被害者たちがどう受け止めているのかを記述することは、「多面的・多角的に考察し、公正に判断する能力をはぐくむため」にも必要不可欠です。
 被害者の証言を掲載することを改めて要望すると同時に、今回の「合意」を受けての被害者の受け止めも記載するよう求めます。
(参考)
今回の日韓「合意」を受けての、金福童さんの発言
「政府間で認めて、私たちには何の相談もなく妥結したなんて、いくら考えても納得できない。私たちはお金のために闘ってきたんじゃない。日本が過去の歴史を誤ったことを認め、安倍さんが立ちあがって謝罪し、日本の子どもたちが歴史をちゃんと学べるようにしてくれるならまだ納得できるが、自分たちだけで、賠償でもなく、何のためにやっているのか。少女の碑についても、民間人が過去の歴史の悲劇を子どもたちが学べるようにと建てたもの。
 こんな謝罪は受け入れられない。終わらせることはできない。謝罪するなら正しく謝罪するべきだし、韓国政府も解決と言うなら正しく解決しなければ。お互いが平和のためにやると言うなら、正しくやってくれることを願う。」

(3)補助教材から「Ⅱ吉田清治氏に関する記事の掲載とその取り消しについて」を削除すること

 前回の話し合いの中で府教委は、現行の高校教科書に松井知事が指摘した「間違った教科書」がないことを認めました。さらに、補助教材作成に当たって吉田証言に基づいた授業が行われているかどうかの調査さえも行っていないことが明らかになりました。結局、大阪府立高校で吉田証言に基づいた授業が行われている事実は確認されていませんでした。府教委が補助教材を作成する根拠が全くなかったことになります。
 また今回の日韓「合意」や河野談話に、吉田清治証言が影響を与えていないことは明白(2014年10月3日衆議院予算委員会での管官房長官の発言<辻元議員への回答>による)です。高校生向けの副教材で吉田証言問題を掲載することは、被害者たちに対してなされた「強制」を「連行時の状況」だけに限定して「強制はなかった」とする、河野談話にも反する誤った認識を高校生に伝えることです。それは、日韓「合意」で日本政府が河野談話を踏まえて「責任を痛感している」と認めているのを否定することにつながり、国際問題に発展しかねません。加えて、前回いただいた【質問3に関する回答】には、「史実の認識や評価に慎重を期す必要がある」ため「朝日新聞の記事取り消しと言う明白な事実と、種々の政府見解を取り上げることにしました。」とありますが、取り消した朝日新聞記事の内容そのものにも、明らかに重大な事実誤認があります。朝日新聞の論理は法的にも、そして国際的な人権基準に照らし合わせた批判にも耐えられるものではありません。(*事実誤認内容は下記)。
 従って、今回の補助機溶剤のうち吉田清治氏の関する記事に関する部分は、些末な事実に過ぎず、しかも朝日新聞の記事訂正についても事実誤認があるため、検定基準等にも入らないことはもちろん、学校現場に無用の混乱をもたらすことは明らかです。補助教材の「Ⅱ」を削除するように求めます。
以上

*2014年8月5日の朝日新聞が犯した事実誤認
①同日の朝日新聞は、河野談話が女性たちを連行した形態を、略取(暴力的に連行)と誘拐(騙して連行)に分けて問題にしている、と誤解した報道をおこなっています。吉田証言を否定したのも、その文脈においてです。しかし河野談話は、両者を区別なく「甘言(誘拐)、強圧(略取=強制連行)による等、総じて本人たちの意思に反して行われた」としています。朝日新聞社の河野談話理解は間違っているのです。したがって朝日の見解は、政府見解とも無関係です。
②「慰安婦」問題の中心は、もちろん慰安所の中での強制的な性暴力が問題にありますが、その一方で連行そのものも強制であり、それ自体もう1つの犯罪を構成します。慰安婦犯罪とは、両者を合わせて一つのものとして、これまで存在してきました。そこには当然にも、誘拐という犯罪も含まれてきました。略取と言う暴力性を帯びた強制連行以外は犯罪では無いかのように語る傾向に対し、朝日新聞は「騙しても強制連行」と明確な立場で反論すべきであったにもかかわらず、今回そこから後退し、騙して連行したのであれば問題でないかのような記事を作成したことは根本的な問題でした。
③朝日新聞は、日本の刑法が「誘拐」と「略取」を一体のものと捉え、罪の軽重さえそこにくわえていないことさえ知っていないようです。「慰安婦」問題は、これまで日本の刑法でそのレベルにおいて捉えられてきましたし、これからもそうであるとする、幅広く支持された研究者の主張を斥け、狭い意味での連行だけを問題とする見解に押され、その1例にすぎない吉田証言の真偽にのみとらわれる誤りを行いました。吉田証言が取り上げるに足らないものであることは、1990年代の初めに、すでに研究上は決着ついた問題でした。
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大阪府教委「副教材」を補完するために作成した教材

 日本軍「慰安婦」問題・関西ネットワークと子どもたちに渡すな!あぶない教科書大阪の会は、1月22日、大阪府立高校あてに、以下のお手紙と、私たちが作成した「副教材」を送付しました。
 この「副教材」は、被害事実を一切記載することなく、政府見解を掲載する事に終始した大阪府教委の副教材を補完するために作成したものです。内容も必要最小限に留め、A4サイズ4枚にまとめました。
 批判に堪えられるよう、主観を避け、誰にも否定できない事実のみを掲載するよう努めました。
 みなさまもぜひご利用下さい。(だい)

(副教材ダウンロード)http://www.ianfu-kansai-net.org/kyozai.pdf
「慰安婦」に関する補助教材を補助する教材_2





大阪府立高等学校
社会科ご担当者 様
人権教育ご担当者 様
 
前略。

 昨年10月28日、大阪府教育委員会は「『慰安婦』に関する補助教材」を作成し、各高校に配布され、使用と報告を義務づけられていることは、すでにご存じのことと思います。
 この補助教材は、とても「『慰安婦』に関する補助教材」と呼べるものではありません。政府の見解は押しつけるけれども、日本軍「慰安婦」被害者の被害事実は全く教えないという、とても許し難いものです。
 このことに危機感を持った私たち、日本軍「慰安婦」問題の解決を求める市民団体と育鵬社教科書採択に反対する市民団体の2者は、大阪府教委に対して、11月10日に抗議文および公開質問状を提出し、12月1日に交渉を持ちました。その交渉の中でも、政府見解ばかりでなく被害事実をキチンと載せるよう要求しましたが、府教委は被害者の証言などが有効な教材であるということは認めるものの、補助教材の内容変更は頑として認めませんでした。
 12月29日に日韓政府で妥結されたという情勢の変化も踏まえ、私たちは引き続き府教委に対して要求を続けていきますが、それはそれとして現実にこのような教材が使用されることを私たちは危惧しています。
 そこで私たちは、授業でも使えるように、被害事実を中心に、府教委作成の補助教材を補助するための教材を作成しました。批判に耐えられるよう、被害証言については裁判所で認定されたものを使用しています。また、現場教員が補助教材に加えて被害証言などを用いて授業を行うことができるということを、12月1日の府教委交渉でも確認しています。
 ぜひともこの教材を用いて、日本軍「慰安婦」問題を正しく教えていただきますようお願いいたします。

 教材は2枚を同封しているほか、次のアドレスからPDFファイルをダウンロードできます。
http://www.ianfu-kansai-net.org/kyozai.pdf

 趣旨が変わらない限り、授業で使いやすいように加工していただいても構いません。また内容に対する要望や教材となる映像の紹介、講師の派遣等の要望があれば、可能な限り対応いたします。
 私たちの抗議文及び公開質問状と、府教委からの回答書等については、ブログ等をご覧下さい。

 未来の世代に日本軍「慰安婦」問題を、事実を基礎にしっかりと考えてもらい、正しく理解してもらうための授業を、どうぞお願いいたします。

 2016年1月

日本軍「慰安婦」問題・関西ネットワーク
HP:www.ianfu-kansai-net.org/blog:ianfukansai.blog.fc2.com
子どもたちに渡すな!あぶない教科書 大阪の会
blog:http://kyoukashoosaka.blog39.fc2.com/
(この教材に関する連絡先)日本軍「慰安婦」問題・関西ネットワーク
Email:info@ianfu-kansai-net.org

日韓政府間「合意」抗議声明への賛同要請

日本軍「慰安婦」問題解決全国行動は1月18日付で、「慰安婦」問題に関する日韓政府間「合意」に抗議する声明を発表し、1月31日締め切りで個人・団体賛同を募っています。そもそも2月5日に政府に提出予定であった「要請書」への賛同募集を打ち切り、今回の事態に対する抗議声明への賛同募集に切り替えたものです。
これを、2月5日、政府に提出し、外務省前で抗議行動、その後衆議院第1議員会館で院内集会を開きます。
〇賛同締め切り:2016年1月31日
〇提出:2016年2月5日。(提出後、院内集会を開催)
〇賛同団体名のみ、HPに掲載します。
※賛同署名はこちらの署名フォームからお願いします。


抗議声明

被害者不在の日韓「合意」は解決ではない
~「提言」の実現を求める~

政府と政府同士話し合ったことをおばあさんたちに一言の相談もせずに自分たちで妥結したということは、一体何の理由で妥結したというのか、どう考えても納得がいかない。お互い平和のために(解決)するのであれば、このように気に障るようにするのではなく、ちゃんとして欲しい。〔金福童(キム・ボットン)ハルモニ〕
「『慰安婦』ハルモニたちのために」という考えがないようだ。天国に逝かれたハルモニたちに対し、面目がない。金で解決しようとするのであれば受け取らない。日本が真に罪を認定し、法的な賠償と公式の謝罪をさせるために、私は最後まで闘います。〔李容洙(イ・ヨンス)ハルモニ〕
これがどれだけ不当かわかりますか。今後、私たちの声を聞く耳を持ってほしい。〔李玉善(イ・オクソン)ハルモニ〕
2015年12月28日、日本と韓国の政府は日本軍「慰安婦」問題の「妥結」をめざして外相会談を行い、「最終的かつ不可逆的に解決されることを確認」と発表しました。直後から、韓国の「慰安婦」被害者たちは怒りの声をあげました。解決を一番待ち望んでいる被害者たちが、「このようなことで終止符は打てない」と繰り返し訴えているのです。
加害国の市民である私たちも、心より日本軍「慰安婦」問題の解決を願っています。しかし、「今回のような被害者不在では解決できない」「この『合意』では解決できない」と考えます。
2014年6月、8ヵ国から被害者と支援者が参加した第12回日本軍「慰安婦」問題解決のためのアジア連帯会議で採択された「日本政府への提言」は、被害者たちが求めてきた「法的解決」の中身を解き明かしたものです。「提言」では、この問題の解決とは、日本政府が加害の事実と責任を認め、謝罪・賠償・真相究明・再発防止の措置を取るということが被害当事者に示された時、初めて「その第一歩を踏み出すことができる」と明らかにしており、その実現を求め、すでに日本政府に届けています。
私たちは、次の理由で、「日韓『合意』は解決ではない」と考えます。従って、日本政府に、「今回の『合意』で、この問題に『終止符』を打つことはできない。『提言』の実現こそが解決への道すじである」と強く訴え、「提言」の実現を求めます。
1.「合意」は、被害者を無視した。
日本軍「慰安婦」問題は、1990年代の初めから、被害者一人ひとりが苦しみの中から名乗り出て、長年、尊厳を取り戻すために闘い、被害者自らが明らかにしてきた問題です。被害者たちの当然の権利と、四半世紀もの間求めてきた要求を、政府間で勝手に「終止符を打つ」ことは断じて許されません。
会談後、岸田外相は「日米韓の安全保障協力も前進する素地ができた」と述べています。本来なら被害者のために行われるべきことが、日本政府にとっては昨年の「戦争法」強行制定の延長線上に位置づけられて行われたのです。
2.「合意」は、アジア連帯会議の「日本政府への提言」を踏みにじった。
「日本政府への提言」は、まず、「①日本政府および軍が軍の施設として「慰安所」を立案・設置し管理・統制したこと。②女性たちが本人たちの意に反して、「慰安婦・性奴隷」にされ、「慰安所」等において強制的な状況の下におかれたこと。③日本軍の性暴力に遭った植民地、占領地、日本の女性たちの被害にはそれぞれに異なる態様があり、かつ被害が甚大であったこと、そして現在もその被害が続いているということ。④当時の様々な国内法・国際法に違反する重大な人権侵害であったこと」を歴史的な事実として認めたうえで、国の責任を認めるよう、日本政府に求めています。
しかし、今回の「合意」は、これらの事実に何一つ言及していません。正確な事実認定という前提のない「責任」言及は、被害者が求めてきた法的責任を認めたことにはなり得ません。
また、被害者たちは「二度とこのようなことが繰り返されないように」と強く求めていますが、「合意」は、「提言」が求めている真相究明や再発防止の措置にも触れていません。
これでは、生存している被害者たちのみならず、無念のうちに亡くなっていった被害者たちの名誉回復もできないどころか、再び傷を深くえぐる行為であり、あまりに不誠実な態度です。
3.「合意」は、日本政府が取るべき責任を韓国政府になすりつけた。
日本政府は、10億円を拠出して「元慰安婦の方々の心の傷を癒やす措置を講じる」としていますが、具体的な財団の設立と運営は、韓国政府に押しつけました。さらに、ソウルの日本大使館前の「平和の碑(少女像の正式名称)」は、「関連団体との協議」を通じた「適切な解決」を、韓国政府に約束させました。この碑は、この問題の解決を求めて被害者や支援者たちが行っている水曜デモ1000回を記念して建てられたもので、日本政府が口出しするのは見当違いです。本来加害国が果たすべき責任を被害国になすりつけて、今や問題解決の鍵を握るのは韓国政府であるかのような構図を、日本政府は作り出しています。
また、日本政府の立場は、10億円は「賠償金ではない」「法的責任は、日韓請求権協定で解決済みということに変わりはない」と明言しているように、「合意」前と何ら変わっていません。
このような日本政府の態度は、日本の市民をも辱めるものです。
4.加害国が被害国に「最終的かつ不可逆的解決」を押しつけた「合意」は、それゆえなおさら「最終的解決」とはなり得ない。
想像を超えるほどの甚大な人権侵害に遭って、生涯を苦しみの中で生きてきた被害者の心を癒す道のりは、当然のことながら、決してたやすいものではありません。被害者が納得するまで、加害者は謝罪の姿勢を持ち続け、必要な取組みを行うことが求められます。そうして初めて、加害者は罪の自覚を深め、二度と犯さないことを自分のものにすることができます。
安倍首相も、昨年8月に出した談話で、「それでもなお、私たち日本人は、世代を超えて、過去の歴史に真正面から向き合わなければなりません」と述べています。にもかかわらず、今回、日韓の政府間で勝手に「最終的かつ不可逆的解決」を宣言しました。このことは重大な過ちであると言えます。しかも、加害国は、そのことを被害国に押し付ける立場にはありません。今回の「合意」は、それゆえなおさら「最終的解決」とはなり得ず、加害国の傲慢で、誤った姿勢を再び浮き彫りにするものでしかありません。
日本軍「慰安婦」被害者は、韓国だけでなく、日本・朝鮮民主主義人民共和国・台湾・中国・フィリピン・インドネシア等のアジア・太平洋の広い地域の国々やオランダにもいます。名乗り出ることができないまま亡くなった被害者も、一体どれほどの人数に達するでしょうか。
今回の日韓政府の「合意」は解決ではありません。日本政府における解決とは、「提言」を実現することです。加害国が本来果たすべき責任を果たして解決するよう、私たちは強く要求します。

2016年1月18日
日本軍「慰安婦」問題解決全国行動

【追悼】陳桃さん

 1月11日午後9時頃、台湾の日本軍「慰安婦」被害者の陳桃さんが亡くなりました。
陳桃さんは1922年生れ。93歳でした。
陳桃さんは、アンダマンにつれていかれ、そこで元日本軍の「慰安婦」にされました。
アンダマンでは自殺未遂をするなど辛い日々を生き延びて、台湾にようやく帰ってからも生きて行くための職を求めて台湾を転々とするような暮しでした。
1999年、東京地裁に提訴した裁判の9人の原告の一人です。
陳桃さんは何度も来日され、証言をして、「私は金はいらない、日本の国が謝ってくれれば私は許すよ」と訴え続けてこれられました。
年末に日韓外相会談での「合意」があり、1月5日には台湾政府は日本政府に対して、被害者への正式な謝罪、賠償、尊厳と名誉の回復、生活支援の4項目を求めましたが、日本政府は「交渉する気はない」とあっさり無視しました。これは日韓「合意」が口だけの謝罪であり、日本軍「慰安婦」被害者に対してなんにも悪いことはしていないという認識の表れとしか判断できません。
そしてその6日後に陳桃さんは逝ってしまわれました。
どれほど無念だったことか!
お金ではなく謝罪、名誉回復を求めているということを、私たちは日本政府に分からせることができないままこの日を迎えてしまったということが、本当に申し訳なく思っています。
ごめんなさい、陳桃アマ。
そして、ありがとうございました、アマ。
被害者が亡くなっても、日本政府に「悪いことをした」を理解させる日まで、闘いを諦めません。それがこれまで闘ってこられた陳桃さんの無念に応える、ただひとつの方法だからです。
合掌。

(だい)

2012-12-08-11,アジア連帯会議in台湾 376 
(写真は2012年に台湾で開催されたのアジア連帯会議でのお姿です。)

日韓日本軍「慰安婦」合意無効と 正義の解決のための全国行動発足宣言文

 韓国挺身隊問題対策協議会より、以下の声明が届きました。
 これが韓国社会の今です。関西ネットもともに歩み、日本政府の犯罪事実認定、覆すことのできない明確で公式的な謝罪、謝罪の証しとしての賠償、真相究明、歴史教育と追悼事業などの措置を求め、日本政府を力一杯追及していきます。(だい)




 日韓日本軍「慰安婦」合意無効と
正義の解決のための全国行動発足宣言文
 
 2015年12月28日、日韓外相が日本軍「慰安婦」問題に関する「合意」を発表しました。しかし、この知らせを聞いた日本軍「慰安婦」被害者は失望を抑えきれず、決して日本政府の謝罪として受け入れることはできないと訴えています。
 この合意がなされるまで被害者たちは、何の説明も聞きませんでした。被害者の意見を反映するための両国政府の努力は全くありませんでした。日韓外相「合意」は、被害者と支援団体の要求を全く盛り込んでいません。
 日本が国家的な次元で組織的に行った犯罪行為という認定さえしていません。「責任を痛感」したと言いながら「法的責任」ではないと主張し、10億円を拠出すると言っては「賠償金ではない」と主張します。真相究明や歴史教科書への記録教育、追悼事業など再発防止のための後続措置の約束も一切ありません。
 それにもかかわらず、両国政府はこれを「最終的かつ不可逆的解決」だと確認し、「国際社会で互いに非難・批判を控える」と宣言しました。韓国政府は、被害者と市民が建てた平和の碑(平和の少女像)について、日本政府の憂慮が解決されるよう努力するとの約束までしました。
 このように日韓両国政府は、日本軍「慰安婦」という反人道的な犯罪行為について、被害者抜きで拙速な「談合」をしました。これに対し、韓国はもちろん全世界の市民から大々的な糾弾の声が上がっています。
 ここに私たちは、[日韓日本軍「慰安婦」合意無効と正義の解決のための全国行動]を発足します。
 [全国行動]は、2016年から再び日本軍「慰安婦」問題の正義の解決のための行動を開始します。
 [全国行動]は、日本政府の犯罪事実認定、覆すことのできない明確で公式的な謝罪、謝罪の証しとしての賠償、真相究明、歴史教育と追悼事業などの措置を世界の人々と求めていきます。
 加えて、「第2のアジア平和国民基金」にほかならない韓国政府の財団設立と日本政府の10億円拠出を全身で拒否し、全世界の人々が日本軍「慰安婦」犠牲者であるハルモニと手をつなぐ募金運動を始めます。
 この活動で、ハルモニたちに真の名誉と尊厳を回復させます。この地で再び戦時「性暴力」を生まないよう、この地で再び戦争が起こらないよう、行動していきます。
 私たちがハルモニの涙をぬぐい、平和の碑(平和の少女像)が地に足をしっかりつけることができるよう行動していきます。
 
2016年1月14日
日韓日本軍「慰安婦」合意無効と正義の解決のための全国行動参加団体および個人
 
個人賛同:336人
団体賛同:386団体

【集会案内】被害者不在の日韓合意は解決ではない ~日韓外相会談と朴裕河問題を批判する~

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【集会案内】
日本軍「慰安婦」問題
被害者不在の日韓合意は解決ではない
~日韓外相会談と朴裕河問題を批判する~

[日時]2月14日 13:30~(開場13時)
[会場]PLP会館(JR天満駅・地下鉄扇町公園より徒歩5分)
[資料代]800円(学生400円)
[主催]日本軍[慰安婦」問題・関西ネットワーク
[講師]鄭栄桓さん(明治学院大学教員)

[集会趣旨]
 昨年12月28日、日本と韓国の政府は日本軍「慰安婦」問題の「妥結」をめざして外相会談を行い、「最終的かつ不可逆的に解決されることを確認」と発表しました。しかし、直後から、韓国の被害者たちは「私たちの意見も聞かないで、政府が勝手にしたこと。認められない」と声をあげています。そして、政府間の合意の内容が明らかになるにつれ、「これは『解決』ではない」という声が韓国でも日本でも高まっていっています。
 2014年6月、第12回日本軍「慰安婦」問題アジア連帯会議に参加した被害者と支援者は、この問題の解決とは、「日本政府が加害の事実と責任を認め、謝罪・賠償・真相究明・再発防止等の措置を取るということが被害当事者に示された時、初めてその第一歩を踏み出すことができる」と「日本政府への提言」としてまとめ、届けています。
 にもかかわらず、日韓両政府は被害者の声を一度も聴くことなく「妥結」を推し進め、今回の政府間の合意でこの問題に「終止符」を打とうとしています。報じられるその内容は、その進め方も含め、あまりにも「提言」とかけ離れたものです。これでは被害者の名誉回復はできません。それどころか、岸田外相は今回の成果について「日米韓安全保障協力の前進に寄与」と述べています。安倍政権は日米安全保障体制強化のために、すでに「戦争法」を強行成立していますが、「慰安婦」問題の「妥結」もその流れで行ったとは、「私たちのような被害者を二度と生み出さないで。二度と戦争をしないで」と願っている被害者の傷を再び深くえぐる行為であり、あまりに不誠実です。
 苦しみの底から名乗り出て、自らこの問題を明らかにしてきた被害女性たちが、韓国だけではなく、朝鮮民主主義人民共和国・台湾・中国・フィリピン・インドネシア・オランダ等で、「解決」を待ち望んでいます。私たちはこの「合意」を認めるわけにはいきません。
 今回、講師に鄭栄桓さんを迎えます。日本でも評価が分かれている『帝国の慰安婦』の著者の朴裕河さんは、現在、韓国の「慰安婦」被害者たちから名誉棄損で告訴され、韓国検察庁によって在宅起訴されています。それに対し、「戦争法」に反対してきた著名な学者や作家も含めた人々がこの本を評価し、抗議声明を発表しています。鄭栄桓さんは、朴裕河さんの本の不正確な理解が必ずしも戦争責任・植民地支配責任に関する認識につながらないと指摘してこられました。被害者を傷つけ、「慰安婦」問題の解決を願う人々に混乱をもたらしているこの問題と併せて、お話いただきます。本質を鋭く突く講師のお話を、ぜひ一緒に聴きましょう。

1月6日 大阪駅前第113回水曜集会

1月の水曜集会は、水曜デモ24周年を記念して、また、12月28日に発表された政治的妥結の「慰安婦」問題日韓合意に反対する意味も込めて、12カ国41都市で取り組まれた世界連帯行動の一つとして開催しました。
まず初めに、1分間、去年亡くなられた「慰安婦」被害女性たちを追悼する時間を持ちました。
続いて関西ネットより、被害者不在の今回の合意は、24年間にわたる被害者と支援者の闘いを踏みにじるものであること、いったん声明を発表した後、日本政府から、10億円の拠出は日本大使館前の少女像撤去と引き替えだというような話が出てきて、それは安倍首相を支持してきた右派勢力の抗議に押されてのことと考えられ、とうてい許しがたいものであることなどを訴えました。
ソウルでは、去年夏日本を訪問し、大阪駅前水曜集会にも参加してくれた韓国平和ナビの若者たちが、日本大使館前の少女像を守るため、像の傍らで座り込みとキャンドル文化祭を続けています。その若者たちから日本の私たちに届けられたメッセージを集会の場で読み上げました。メッセージには次のように書かれていました。
<12月28日、合意文が発表された時、日本軍「慰安婦」問題が解決されたと考えた多くの市民が今では真実を知り、「平和の碑」(少女像)を訪ねて学生たちを励まし、行動をともにしてくださっています。>
<キム・ボクトンハルモニが先週土曜日学生に会いに来られて、「これからが始まり。最後まで頑張って闘いましょう」とおっしゃ いました。>
「辺野古に基地を絶対作らせない大阪行動」の方もアピールに立ち、辺野古で闘っている高齢の方々の願いは、世界のどこの人たちも傷つけたくないということ、安倍政権は、辺野古の高齢者も高齢となられた「慰安婦」被害女性も踏みにじり続けているが、私たちはこれらの方々と連帯していきたいと話されました。
続いて、「HANA~一つ」の歌にあわせて、関西ネットのメンバー6人でカードセッションを披露しました。これは最近日本語版が刊行されたばかりの絵本「終わらない冬」にヒントを得て、被害女性の体験を絵と簡単な文で表現したもの。最後は「水曜デモ24周年世界連帯水曜集会に連帯します。」という言葉と少女像の絵で締めくくりました。
若者アピールでは、まず、男子大学生が、昨年夏に韓国の若者と交流したことをきっかけに今年2月から韓国に留学すると決めたこと、日本の植民地主義はまだ克服されていないと思うので、それに関して韓国の人々と思いを共有したいと考えていることなどを話してくれました。また女子大学生が、日本では性暴力をうけた女性がなかなか被害を告発できない、そのことと「慰安婦」問題を解決できないことはつながっていると、鋭い指摘をしてくれました。さらに、昨年秋以来、関西ネット主催の講演会や水曜集会に連続参加の20代の青年が、安倍首相は、「未来の世代にこの問題を背負わせたくない」などと言って、まるで被害の妄想に取り憑かれているかのようだ、しかし、それは安倍首相だけでなく、市民と呼ばれる人々の多くにもそういう妄想があるのではないかと、これまた鋭い指摘をしてくれました。
最後に「共に行こうこの道」を皆で歌い、<日韓外相会談の政治的「妥結」を許さないぞ!><日本政府は日本軍「慰安婦」制度を戦争犯罪と認め、賠償せよ!>などのシュプレヒコールをあげました。
参加者は100人。いつにもまして力強いシュプレヒコールの声が夜空に響き渡りました。
水曜デモ
P1050113[1]

日本軍「慰安婦」合意関連韓国大統領官邸発表に対する挺対協論評

 

日本軍「慰安婦」合意関連韓国大統領官邸発表に対する挺対協論評



 今日、韓国大統領官邸(青瓦台)が発表した<日本軍慰安婦問題合意と関連した国民へのメッセージ>は、日韓両国の交渉妥結に対する衝撃がまだ収まらないままの私たちを再び驚かせた。
 光復70年を迎え、いつにもまして真の解放を願い韓国政府の努力を待ち望んできた日本軍「慰安婦」被害者たちに、拙速な交渉結果をそのまま受け入れよと押し付けた。それにも足りず、これまで民間が傾けてきた問題解決への努力と過去韓国政府の努力さえ貶す発言をし、今回の屈辱合意の不当性を正当化しようとした。
 被害者が受け入れることのできる問題解決を原則としていたはずの朴槿恵政府が、合意過程において被害者の声を聞き入れようとした努力は全くなく、結局日本のあいまいな責任認定とお詫びをもって「最終的で不可逆的な解決」まで約束してしまった。今日の大統領官邸発表は、これに対する正当な怒りと要求を厳粛に受け入れることができず、むしろ国民を咎めるものと見る。
 1991年、故金学順ハルモニが口にすることさえつらい日本軍性奴隷の体験を証言し、まるで罪人のように首をもたげて生きてきた被害者が勇気をだし、韓国社会に歴史の真実を教えてくれた。政府さえ無視してきた日本軍「慰安婦」問題を被害者とともに韓国社会はもちろん国際社会共通の人権問題として認識させ、被害者の側に立った友好的な国際社会の世論を醸成してきたのはまさに市民であり民間団体であった。「民間次元の多くの努力にもかかわらず、慰安婦問題は一歩も進むことがなかった」とは、盗人猛猛しいにもほどがある。20余年の努力で得たすべての成果を一瞬にして地面にたたきつけ、拙速な合意で被害者の希望をへし折り、正しい問題解決を困難にしている政府がする発言ではない。歴代政府が「慰安婦」問題解決にこれという進展をもたらすことができなかったとしても、今回のように問題解決のための次期政府の努力さえ困難にした最終的な解決をするようなことはなかった。
 大統領官邸は、被害者と市民社会の前に今回の合意の過程と結果をきっちりと説明し、政府として説得したいことがあるならば、謙虚で誠意ある姿勢で説得することが然るべきである。何より被害者が決して受け入れることができないということに対する責任を厳粛に受け止めなければならない。このような不通の政治は、間違った合意を産んだだけでなく、被害者と国民が政府に背を向ける結果を招くだろう。
 この至難の闘いを終わらせたい気持ちは、被害当事者そして苦痛を傍らで見守ってきた民間団体がより強く持っている。組織的な軍隊性奴隷犯罪の犠牲となった数多くの女性の絶叫を後ろに追いやり、困難な問題であることを前にたてて適当に縫合してしまうことが、果たして日本軍「慰安婦」被害者の前に、歴史の前に、人類の正義の前に、本当に正しいことなのか問いただしたい。政府が心から被害者の傷を癒し名誉と尊厳を回復したいならば、間違った合意による財団設立ではなく、20余年間被害者が絶えず叫んできたことを心に刻み、日本政府の国家的法的責任を履行させることだ。
 日本軍「慰安婦」問題を正しく解決できない責任を日本軍「慰安婦」被害者と市民社会に押し付けることは、日本の右翼と日本政府がこの間見せてきたやり方である。政府の間違った拙速な合意を受け入れないならば、政府として被害者が生きているうちにこれ以上どうにかする余地がないという言葉は、説得ではなく脅迫に近いものだ。現政府もこれからの政府も手を引くという言葉が日本政府でもなく韓国政府から聞こえてきたという事実に、再度失望を感じざるをえない。それも光復70年の最後の日に大統領官邸から伝えられたニュースとは、あまりにも悲しい。

2015年12月31日
韓国挺身隊問題対策協議会

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