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【アジア連帯会議2日目、其の3】法的解決とはなにか

22日の夕食後、特別セミナーとして、日韓の弁護士2人による「日本政府への提言」についての講演がありました。とても貴重な講演で、また今回のアジア連帯会議の核心的な内容でしたので、少し詳しく報告し、みなさまと共有したいと思います。


大森典子弁護士
「提言」の出発点は野田政権の時だった。民主党
政権下で日本軍「慰安婦」問題の解決に向けた動きが閉塞する中、韓国の憲法裁判所で「韓国政府の日本政府に対する『慰安婦』問題解決に向けた外交努力の不作為が憲法違反」という判決が出て、被害者の思いに寄り添い、なんとか日本政府に認めさせることはできないかと考えたのが、スタートだった。今まで法的責任、法的解決と言ってきたが、実はその内容について具体的に突っ込んが議論はなかった。
日本政府はこれまで「法的に解決済み」と言ってっきた。それは日韓請求権協定第2条第1項に基づくもので、請求権そのものがないものと考えられてきた。実はそれが大変な誤りだったわけです。
それがハッキリしたのが、西松最高裁判決だったわけですが、過去の国会答弁の経緯をたどっても、それは明らかでした。
「法的解決」の実体は、「請求権が消えた」というものではなく、「外交保護権がない」というだけなんです。つまり請求権そのものは制限されていないんです。権利が残っているのであれば、義務も残っているはずです。
国民基金が間違っていたのは、請求権に対して募金で対応したからです。
被害者が求める「法的解決」とは、
(1)加害と被害の事実を具体的に認めること
(2)加害行為について政府が明確に謝罪すること
(3)与えた被害に対して「正義の回復のための義務として」(義務はないが支払うというのではなく)賠償を支払うこと
です。
まずは事実を認めなければ、法的な賠償請求権が
発生しません。そして加害の事実を認めるということは、当時の国内法・国際法に違反していたと認めることでもあります。

金昌禄弁護士
被害者や支援者はこれまで「法的解決」を求めてきたが、最初から「法的解決」を求めていたわけではなく、日本政府が「道義的責任は負うが法的責任は負えない」と強弁したから。
仮に日本政府の主張に沿ったとしても「解決済み」論はおかしい。そもそも
日韓請求権協定は、反人道的な不法行為は対象ではない。そして日韓請求権協定締結の1965年当時には、日本軍「慰安婦」問題は、問題として存在しなかった。「1965年に存在しなかった問題が1965年に解決した」とはナンセンスでしかない。
「法的解決」を実現するために、日本政府はまずは事実の究明と認定をしなければならない。1993年の第2次調査以降全面的に注視されている日本軍「慰安婦」関連資料調査を再開し、それを持続して実施する必要がある。
その事実認定を元に、謝罪と賠償を行わなければならない。
昨年6月2日に、第12回アジア連帯会議にて確認され、日本政府に提出された「提言」は、「法的解決」の核心的な内容である。
この「提言」には責任者処罰は含まれていないが、日本軍「慰安婦」問題の解決は時間との闘いであり、今すぐ実現されなければならない。いわば最小限のガイドラインとしての「提言」であり、責任者処罰が除かれたのは理解できる。
日本軍「慰安婦」問題が提起され四半世紀の歳月が過ぎた。明確な「保的解決」こそが唯一の解決方法であり、今すぐ実現されなければならない。

(だい)








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