日韓政府間「合意」抗議声明への賛同要請

日本軍「慰安婦」問題解決全国行動は1月18日付で、「慰安婦」問題に関する日韓政府間「合意」に抗議する声明を発表し、1月31日締め切りで個人・団体賛同を募っています。そもそも2月5日に政府に提出予定であった「要請書」への賛同募集を打ち切り、今回の事態に対する抗議声明への賛同募集に切り替えたものです。
これを、2月5日、政府に提出し、外務省前で抗議行動、その後衆議院第1議員会館で院内集会を開きます。
〇賛同締め切り:2016年1月31日
〇提出:2016年2月5日。(提出後、院内集会を開催)
〇賛同団体名のみ、HPに掲載します。
※賛同署名はこちらの署名フォームからお願いします。


抗議声明

被害者不在の日韓「合意」は解決ではない
~「提言」の実現を求める~

政府と政府同士話し合ったことをおばあさんたちに一言の相談もせずに自分たちで妥結したということは、一体何の理由で妥結したというのか、どう考えても納得がいかない。お互い平和のために(解決)するのであれば、このように気に障るようにするのではなく、ちゃんとして欲しい。〔金福童(キム・ボットン)ハルモニ〕
「『慰安婦』ハルモニたちのために」という考えがないようだ。天国に逝かれたハルモニたちに対し、面目がない。金で解決しようとするのであれば受け取らない。日本が真に罪を認定し、法的な賠償と公式の謝罪をさせるために、私は最後まで闘います。〔李容洙(イ・ヨンス)ハルモニ〕
これがどれだけ不当かわかりますか。今後、私たちの声を聞く耳を持ってほしい。〔李玉善(イ・オクソン)ハルモニ〕
2015年12月28日、日本と韓国の政府は日本軍「慰安婦」問題の「妥結」をめざして外相会談を行い、「最終的かつ不可逆的に解決されることを確認」と発表しました。直後から、韓国の「慰安婦」被害者たちは怒りの声をあげました。解決を一番待ち望んでいる被害者たちが、「このようなことで終止符は打てない」と繰り返し訴えているのです。
加害国の市民である私たちも、心より日本軍「慰安婦」問題の解決を願っています。しかし、「今回のような被害者不在では解決できない」「この『合意』では解決できない」と考えます。
2014年6月、8ヵ国から被害者と支援者が参加した第12回日本軍「慰安婦」問題解決のためのアジア連帯会議で採択された「日本政府への提言」は、被害者たちが求めてきた「法的解決」の中身を解き明かしたものです。「提言」では、この問題の解決とは、日本政府が加害の事実と責任を認め、謝罪・賠償・真相究明・再発防止の措置を取るということが被害当事者に示された時、初めて「その第一歩を踏み出すことができる」と明らかにしており、その実現を求め、すでに日本政府に届けています。
私たちは、次の理由で、「日韓『合意』は解決ではない」と考えます。従って、日本政府に、「今回の『合意』で、この問題に『終止符』を打つことはできない。『提言』の実現こそが解決への道すじである」と強く訴え、「提言」の実現を求めます。
1.「合意」は、被害者を無視した。
日本軍「慰安婦」問題は、1990年代の初めから、被害者一人ひとりが苦しみの中から名乗り出て、長年、尊厳を取り戻すために闘い、被害者自らが明らかにしてきた問題です。被害者たちの当然の権利と、四半世紀もの間求めてきた要求を、政府間で勝手に「終止符を打つ」ことは断じて許されません。
会談後、岸田外相は「日米韓の安全保障協力も前進する素地ができた」と述べています。本来なら被害者のために行われるべきことが、日本政府にとっては昨年の「戦争法」強行制定の延長線上に位置づけられて行われたのです。
2.「合意」は、アジア連帯会議の「日本政府への提言」を踏みにじった。
「日本政府への提言」は、まず、「①日本政府および軍が軍の施設として「慰安所」を立案・設置し管理・統制したこと。②女性たちが本人たちの意に反して、「慰安婦・性奴隷」にされ、「慰安所」等において強制的な状況の下におかれたこと。③日本軍の性暴力に遭った植民地、占領地、日本の女性たちの被害にはそれぞれに異なる態様があり、かつ被害が甚大であったこと、そして現在もその被害が続いているということ。④当時の様々な国内法・国際法に違反する重大な人権侵害であったこと」を歴史的な事実として認めたうえで、国の責任を認めるよう、日本政府に求めています。
しかし、今回の「合意」は、これらの事実に何一つ言及していません。正確な事実認定という前提のない「責任」言及は、被害者が求めてきた法的責任を認めたことにはなり得ません。
また、被害者たちは「二度とこのようなことが繰り返されないように」と強く求めていますが、「合意」は、「提言」が求めている真相究明や再発防止の措置にも触れていません。
これでは、生存している被害者たちのみならず、無念のうちに亡くなっていった被害者たちの名誉回復もできないどころか、再び傷を深くえぐる行為であり、あまりに不誠実な態度です。
3.「合意」は、日本政府が取るべき責任を韓国政府になすりつけた。
日本政府は、10億円を拠出して「元慰安婦の方々の心の傷を癒やす措置を講じる」としていますが、具体的な財団の設立と運営は、韓国政府に押しつけました。さらに、ソウルの日本大使館前の「平和の碑(少女像の正式名称)」は、「関連団体との協議」を通じた「適切な解決」を、韓国政府に約束させました。この碑は、この問題の解決を求めて被害者や支援者たちが行っている水曜デモ1000回を記念して建てられたもので、日本政府が口出しするのは見当違いです。本来加害国が果たすべき責任を被害国になすりつけて、今や問題解決の鍵を握るのは韓国政府であるかのような構図を、日本政府は作り出しています。
また、日本政府の立場は、10億円は「賠償金ではない」「法的責任は、日韓請求権協定で解決済みということに変わりはない」と明言しているように、「合意」前と何ら変わっていません。
このような日本政府の態度は、日本の市民をも辱めるものです。
4.加害国が被害国に「最終的かつ不可逆的解決」を押しつけた「合意」は、それゆえなおさら「最終的解決」とはなり得ない。
想像を超えるほどの甚大な人権侵害に遭って、生涯を苦しみの中で生きてきた被害者の心を癒す道のりは、当然のことながら、決してたやすいものではありません。被害者が納得するまで、加害者は謝罪の姿勢を持ち続け、必要な取組みを行うことが求められます。そうして初めて、加害者は罪の自覚を深め、二度と犯さないことを自分のものにすることができます。
安倍首相も、昨年8月に出した談話で、「それでもなお、私たち日本人は、世代を超えて、過去の歴史に真正面から向き合わなければなりません」と述べています。にもかかわらず、今回、日韓の政府間で勝手に「最終的かつ不可逆的解決」を宣言しました。このことは重大な過ちであると言えます。しかも、加害国は、そのことを被害国に押し付ける立場にはありません。今回の「合意」は、それゆえなおさら「最終的解決」とはなり得ず、加害国の傲慢で、誤った姿勢を再び浮き彫りにするものでしかありません。
日本軍「慰安婦」被害者は、韓国だけでなく、日本・朝鮮民主主義人民共和国・台湾・中国・フィリピン・インドネシア等のアジア・太平洋の広い地域の国々やオランダにもいます。名乗り出ることができないまま亡くなった被害者も、一体どれほどの人数に達するでしょうか。
今回の日韓政府の「合意」は解決ではありません。日本政府における解決とは、「提言」を実現することです。加害国が本来果たすべき責任を果たして解決するよう、私たちは強く要求します。

2016年1月18日
日本軍「慰安婦」問題解決全国行動
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