「慰安婦」正義連盟の声明

「慰安婦」正義連盟 声明 2017.12.7
 
 
「慰安婦」記念碑に対し寄せられた反対意見への返答
 
 私たちサンフランシスコの「慰安婦」正義連盟は、国境を越え多民族に亘る 個人及び団体によって構成されています。私たちは、国際的に広がる日本軍「慰安婦」問題正義運動の一員であり、「慰安婦」のサバイバーらの力強いリーダーシップのもとで誇りを持って活動しています。2017 年、私たちは、1930 年代初頭から 1945 年にかけて日本軍によって性奴隷にされた何十万人もの女性や少女たちについて記憶し、啓発する目的で、「慰安婦:力の柱」という名の記念碑を、サンフランシスコ市に完成させました。これは、同様の暴虐を二度と繰り返させないという私たちの決意を象徴しています。また、性暴力・性的人身売買の犠牲となった全ての方々に敬意を表し、記憶する証しでもあります。
 
1. 吉村大阪市長 によるサンフランシスコ市と大阪市の姉妹都市解消
 
 先月、サンフランシスコ市議会は全会一致で「慰安婦」正義連盟による「慰安婦」記念碑の市への寄贈を受け入れました。これを受け、吉村大阪市長は、もしエドウィン・リー・サンフランシスコ市長 がこの議会の決議を支持し、記念碑の寄贈を受け入れるなら大阪とサンフランシスコの姉妹都市を解消すると公言しました。しかし、リー市長は議会の決議を全面的に支持したため、吉村市長によるこの脅しは裏目にでることとなりました。
 吉村市長の派手な政治的スタンドプレーはあまりにもお粗末で、期せずして全ての歴史修正主義者たちに予期せぬ教訓を与える羽目となりました。それは、今なすべきことは「ハルモニ、アマ、ロラ」等と親しみと敬意を込めて呼ぶサバイバーたちの尊厳を貶めることではなく、彼女らの声に耳を傾け、学ぶべきだという教訓です。国連の女子差別撤廃委員会も、2015 年のいわゆる日韓「合意」が当事者を中心に据えるアプローチに欠くと厳しく批判し、日本政府に対しハルモニから学ぶことを喚起しています。
 ハルモニたちは自らの沈黙を破ることによって、戦時下の性暴力は人道に対する罪であると宣言する運動の立ちあげに貢献しました。この運動は 戦争の手段としての性奴隷制を廃絶するため、世界の人々を教育する役割も果たしています。
 奇しくも現在、世界各地で、権力の座にある男性による性暴力の長い歴史とそれを看過してきた文化的背景について女性たちが声を上げています。私たちは女性の告発に耳を傾ける男性と、逆に耳を閉ざして事実そのものを否定しようとする男性とに分かれるのを目の当たりにしています。「慰安婦」記念碑も、多くの形の性暴力が現在まで続いていることを啓発する目的で建てられました。その記念碑に対して、吉村市長と安倍首相は 不信の念を表明し、撤去しようとしています。女性の権利は人権であることは常識であり、私たちは吉村市長と安倍首相の企てを決して許しません。
 2025 年開催の世界万博の目標は、「協力と希望の精神にのっとり、市民が他国についてまた将来的な可能性に関して理解を深めるのを助け、進歩を促進し、協力関係を育むこと」です。吉村市長は主催をめざしていますが、吉村市長の 記念碑建設反対、姉妹都市解消宣言と女性の人権への無理解は、万博のどの目標にも真っ向から反するものです。
 吉村市長の決断に関わらず、「慰安婦」正義連盟は、性奴隷制度からの自由と正義を全ての女性と少女に実現することを活動理念とし、同じ理念を掲げる日本の仲間とともに活動を続けることを願っています。
 
2. 「慰安婦」記念碑の理念
 
 私たちは、世界中に平和が訪れることを願い、正義と人権を守るために「慰安婦」記念碑を建てました。
 この目的を達成するために、私たちは世界中にいる私たちの仲間とともに、日本の指導者たちによる偏狭なナショナリズム、 帝国日本による軍事侵略を賛美、美化する歴史修正主義、人種差別、性差別及び軍事化を批判してきました。国連(の人権関係の諸委員会)も、日本社会に未だ深く根付く人種差別、女性差別などの人権侵害に日本政府が立ち向かうように、 度重なる勧告をしていますが、日本政府は無視し続けています。それどころか偏狭なナショナリズムや人権侵害を正当化するため、犠牲者の訴えや国際法に基づく勧告を「日本叩き」と称して、逆に人権侵害の犠牲者に対する攻撃に転じています。
 
3. 歴史的事実に「二つの解釈」はない。真実は一つ
 
 日本軍「慰安婦」制度は、戦時下日本帝国陸軍と海軍によって行われた性奴隷制度であり、人道に対する罪、戦争犯罪と国際法により認定されています。日本政府にその加害責任があります。しかし日本政府は、帝国主義日本が展開した侵略戦争の歴史には異なる解釈がある
と主張し続けています。日本軍による大規模な性奴隷制度の事実そのものも、解釈によっては正当化できると主張しているのです。例えば、2015 年のいわゆる「合意」は、一方で日本政府の責任を認めながら、犠牲者の要求は一切無視し、強制性も否定しています。吉村市長は、私たちの記念碑の碑文は日本政府の見解に反すると公言し、橋下前大阪市長、在アトランタ日本総領事などは、慰安婦は売春婦で必要悪であったと公言しています。しかし、加害の事実にいくつもの解釈は存在しません。全ての性暴力の犠牲者にとって事実は一つであるのと同様、日本軍性奴隷制度の歴史的事実は一つです。 日本政府にとって、加害責任を取ること以外にこれらの犯罪を償い、真実の平和と和解に至る方法はありません。
 アジア系アメリカ人のコミュニティには、帝国主義日本が侵略戦争中に犯した性奴隷制度や他の残虐行為の犠牲者が家族にいて、今でもトラウマの重荷を抱えて生きている人々が大勢います。日本政府は「二つ目の解釈」を持ち出したり、「慰安婦」制度の犠牲者を記憶する草の根運動を妨害・弾圧することによって、私たちのコミュニティに生来与えられているはずの、歴史を記憶し正義を要求する権利を事実上剥奪していると言えます。
 吉村市長と安倍首相は、戦争中の暴虐や人々に対する犯罪の事実を認めて癒しへと誘うどころか、人類の歴史上最も悲劇的な時代の一つに作られた深い傷の傷口を再び開こうとしているのです。
 サンフランシスコ市は、記念碑を全面的にサポートすることで、日本政府に対して歴史的事実に「二つの解釈」はなく真実は一つと宣言したのです。
 
4. 平和主義コミュニティの連帯
 
 私たち「慰安婦」正義連盟は、大阪はじめ日本各地の友人たちと連帯し、平和の実現をめざします。
 私たちは、エドウィン・リー・サンフランシスコ市長が「慰安婦」問題へのサポートを惜しまず、サンフランシスコ市が性暴力、性的人身売買の根絶を目標に掲げていることを褒め称えたいと思います。
 吉村市長には、「慰安婦」問題の解決を求める運動のみならず、大阪に根付いてきた被差別部落、在日コリアン・朝鮮人、台湾人、及び沖縄ウチナーンチュやアイヌ有志の解放・反差別運動、人権運動から学び、帝国日本による侵略戦争、植民地支配の負の遺産と向き合い過去を清算する事を政策の中心に据える事を求めます。さらには、これらの反差別、人権運動が、障がい者解放運動、セクシャリティー、ジェンダーの多様性をめぐる運動、家父長制の解体を目指す運動と、密接に結びついて展開されてきた歴史からも学ぶ事を求めます。
 吉村市長には、心を開いて謙虚に当事者の話に耳を傾け、女性の人権を尊重するとはどういうことかを、これらの世界に誇る大阪・日本発信の人権運動から学んで欲しいと願っています。そして、私たちとともに手を取り合って、全ての女性や少女の人権が守られる未来をともに築いていただきたい。それが、私たちの心からの願いです。
 
 2017 年 12 月 7 日
 
「慰安婦」正義連盟

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